薄っぺらいプライドを捨て、見せ物に徹する。私がプロレスを好きな理由だ。戦いを見るだけで、レスラーたちのリングにかけたプライドが見て取れる。

「菊とギロチン」の一場面

 女子プロレス団体発祥の元となったとされるのが女相撲興行。相撲だけでなく、力自慢で観客を沸かせ、全国を行脚していた。彼女たちは、世間の偏見や好奇の目さえも飲み込み、土俵に命とプライドをかけていた。

 時は大正時代末。玉岩興行所属の花菊は、夫の暴力に耐えかね、強くなりたい、と家出した。ほかの力士たちもワケありぞろい。それでも土俵上、強く美しく戦う彼女たちの生きざまは、アナキスト集団ギロチン社の男たちの心をつかんだ。戦争に突き進む日本の片隅で、自由で平和な国を夢見る、花菊とギロチン社の若者たちの心の交流がみずみずしく描かれた大作。(桜坂劇場・下地久美子)

◇桜坂劇場で11日から上映予定