台風14号の接近で雨が降る中、大会が始まっても、傘を差し入場しようとする人の列が途切れない。

 シンボルカラーの「辺野古ブルー」をイメージした服装のほか、喪章など黒い服も目立つ。

 辺野古新基地建設断念を求める県民大会が那覇市の奥武山陸上競技場で開かれた。

 防衛省沖縄防衛局は今月17日にも新基地建設のための埋め立て土砂を投入すると県に通知している。

 これに対し県は撤回に向けた「聴聞」を打ち切るなどぎりぎりのせめぎ合いが続いている。

 撤回表明した翁長雄志知事が3日前に急逝したこともあり、これまでにない雰囲気が会場を包んだ。

 次男で那覇市議の翁長雄治氏(31)は、病と闘う知事が病床で、最後の最後までどうしたら辺野古新基地を止められるのか、を問い続け、「一生懸命資料を読みあさり、頑張っていた」ことを明らかにした。

 生前には「沖縄は試練の連続だ。しかしウチナーンチュが心を一つにして闘う時には、お前が想像するよりもはるかに大きな力になる」と何度も何度も伝えたという。

 翁長知事は「イデオロギーよりアイデンティティー」を主張し、保守、革新で争うのではなく心を一つにして基地問題に取り組む大切さを訴えた。県民同士がいがみ合うのを上から笑ってみているのが日米両政府であると。

 沖縄の苦難の戦後史を顧みて実感した言葉であろう。

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 ジュゴン・サンゴを守ることを大会の冠に付けていたことからも分かるように、ひとたび土砂が投入されてしまえば、辺野古・大浦湾の豊かな自然は取り返しのつかないことになる。

 沖縄防衛局の環境監視等委員会は前知事が承認した際に「留意事項」として設置されたものである。本来であれば工事を進めるに際し、厳しいチェック機能がはたらいていなければならない。

 だが、副委員長を辞任し大会にメッセージを寄せた東清二琉大名誉教授(85)は、委員会では「ウミガメの産卵場所やジュゴンが何頭いるかなどの調査を依頼しても何も調べない」と強く非難した。

 さらに「藻場の話をしても議事録には載らない。防衛局は都合の悪いことは一切書かない」と議事録がゆがめられていると指摘した。

 委員会の内情である。防衛局は、「工事ありき」の委員会を隠れみのに、県が求める事前協議に応じず工事を強行しているのである。

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 翁長知事が座るはずの壇上の椅子に、この日かぶる予定だった青の帽子が置かれた。

 登壇者からは命を懸けて新基地反対を貫いた知事に感謝し、遺志を継ぐ決意が繰り返し表明された。

 知事の遺志を受け継ぐとは、新基地反対もそうだが、9月の知事選で「オール沖縄」の候補者を選ぶことができるかが、最初で最大の関門である。つまずけばオール沖縄が瓦(が)解(かい)する恐れがある。候補者選びを進める調整会議の責任は大きい。