外国語を使って有料で観光地などを案内する有資格者「通訳案内士」の活動がなかなか広がっていない。県内には3月末現在531人が登録しているが、沖縄総合事務局の調査によると5割は「通訳案内士としての仕事をしていない」という。建築士などと同じように仕事を取ってくる営業力が問われるほか、拘束時間の長さや収入の低さも壁になり“本業化”が進んでいない。(政経部・平島夏実)

通訳案内士の対応言語別の人数

 県内には、国家資格の「通訳案内士」65人のほか、県内だけで活動できる「地域限定通訳案内士」190人と「沖縄特例通訳案内士」276人いる。いずれも、日常会話レベルの語学力と合わせて沖縄の地理や歴史、産業や経済、政治、文化に関する幅広い知識が求められる。

 活動実態はどうなっているのか。沖縄総合事務局が2015年9月に公表した調査(対象400人、回答率32%)では、回答者の50%が「通訳案内士として就業していない」と答えている。14年1~12月までの間の就業回数は、10回未満が3割強、30回以下が6割以上を占めた。

 ある通訳案内士男性(59)=石垣市=は「本業の建築業が忙しい。石垣ではガイドが足りないから1年間に2~3回協力しているが、本業にするなら建築業を引退してから」と話す。沖縄総合事務局の調査では塾や語学学校の講師、通訳業や翻訳業、旅行業、専業主婦(主夫)を本業としているケースが多く、結果的に「忙しく活動できない」とした人が24%に上った。

 収入の低さも課題だ。通訳案内士としての14年の収入が50万円未満にとどまった人が25%おり、300万円以上は0%だった。韓国語でガイドする40代の通訳案内士の女性=那覇市=は、ホテルに迎えて送り届けるまで1日12時間以上働いても1万2千円程度だと嘆く。中国語の通訳案内士の女性(29)=同市=は「案内先が離島だと前日入りが必要な場合もあるが特別手当はない」と話す。

 通訳案内士の多くは旅行会社や口コミで仕事を得ているが、オファーの少なさを残念がる声もある。クルーズ船で来県する中国人や韓国人の観光客は、中国本土や県外から通訳を連れてくるケースが多いという。県は、有資格者の希望があれば連絡先をホームページで公開しているが「ハローワークではないので直接仲介することはできない」。昨年から年1回、有資格者と旅行会社の面談会を企画している。

 通訳案内士 通訳案内士法では、外国語で有料の観光案内をする場合は資格が必要。国家資格の通訳案内士は全国、地域限定通訳案内士と沖縄特例通訳士は県内のみで活動できる。地域限定通訳案内士は県による試験(受験料8300円)が必要。沖縄特例通訳案内士は研修(一般コース計152時間9万3千円、速成コース計104時間6万3千円)が課せられる。