社説

社説[スポーツ界の不祥事]上意下達の体質改めよ

2018年8月13日 08:16

 スポーツ界の不祥事が続いている。

 日本ボクシング連盟の山根明会長が助成金の不正流用や、特定県の選手をひいきした審判員の不正判定疑惑などで告発され、辞任した。過去に暴力団関係者との交際も認めている。

 背景にあるのは2012年に「終身会長」となった山根氏への権力集中だ。都道府県連盟幹部ら有志による「日本ボクシングを再興する会」がスポーツ庁などに提出した告発状には、山根氏の関係先による試合用品の独占販売など、不透明な運営方法が列挙されている。

 山根氏は助成金の不正流用は認めた。しかし告発した関係者による証言は具体的で、それらに対する説明責任が果たされたとはいえない。

 日本連盟の対応にも疑問が残る。告発を受けた緊急理事会で導き出されたのは、疑惑の渦中にある山根氏自身に進退を一任するという結論だった。組織の意思決定機関である理事会としての役割が見えない。

 山根氏による辞任表明も異例づくしだった。記者の質問を一切受けず「このような問題があったことに関して、法人の会長として申し訳ない」と謝罪したが、自らの疑惑についての言及はなかった。

 いわゆる「奈良判定」など審判にかかわる不正疑惑は特に深刻だ。公平性の担保はスポーツの根幹である。あいまいな辞任による幕引きは不正の再発を招きかねない。

 日本連盟は真相究明のための第三者委員会を設置する方針だが、委員の選定を含め告発した側も納得できるような検証作業を急ぐべきだ。

■    ■

 日本大アメリカンフットボール部の問題も深刻だ。

 日大の選手が相手選手の背後から危険なタックルをして負傷させた「悪質反則問題」を調査した第三者委員会の最終報告は、日大の常務理事で人事部長だった内田正人前監督の独裁体制下にあったことと、同部の指導体制に関してガバナンス(組織統治)が欠如していたことが問題の背景にあったと指摘した。

 日大では競技チアリーディング部の部員が同部の監督からのパワーハラスメントを受けていたと証言し、監督は解任された。

 日本レスリング協会では、五輪4連覇の伊調馨選手らが協会前強化本部長の栄和人氏からパワーハラスメントを受けたと告発し、栄氏は協会の常務理事を解任された。

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 これらに共通するのは、トップ1人に権力が集中していることと批判者の不在だ。さまざまな意思決定が上意下達となり、明らかに異常な状態が放置されてきた。

 過度な権力集中の背景には勝利至上主義がある。だが、こうしたスポーツ組織のいびつな構図が有望な選手の離脱を招き、結局、勝つことそのものから遠ざけている。

 ボクシング、アメフット、レスリングなどさまざまな分野で問題が相次いで発覚していることを見れば、これらはスポーツ界に広く浸透した課題といえるだろう。それぞれが足元を確認し直す時ではないか。

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