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  • 本島中部でクルーズ船の受け入れが始まったが、観光客は素通り
  • 沖縄市や観光団体が目を付けたのは、乗客の2倍近くいる乗務員
  • 地元に金が落ちる仕組みをつくろうと、ニーズ把握に乗り出す考え

 中国・台湾での沖縄人気に支えられ県内を訪れる人々が増加する中、クルーズ船寄港地として飽和状態となっている那覇港に代わり、4月から中部地区での本格的な受け入れが始まった。13日には中城湾港に10年ぶりに外国クルーズ船が寄港、中国からの寄港予定は10月までに20回にのぼる。中でも沖縄市や観光団体が商機として注目するのは、乗客の約2倍もいる乗務員だ。滞在期間中、乗務員が食事や土産品販売などを楽しみながら地元に金が落ちる仕組みをつくろうと、年度中にも調査を実施し、ニーズ把握に乗り出す考えだ。(中部報道部・比嘉太一)

クルーズ船「スーパースター・リブラ」の乗客を歓迎する関係者ら=4月13日、中城湾港西ふ頭

■乗客の倍800人

 沖縄総合事務局によると、10月までの寄港予定のうち19回は中国人観光客が多く乗船する「スパースター・リブラ」。だが沖縄市の担当者は、クルーズ船が定期的に接岸することを追い風としながらも「船は来ても、客が街にとどまる仕組みをつくらなければ意味がない」と懸念。外国人観光客に中部の街の魅力を知ってほしいと頭を悩ませる。

 4月13日早朝。外国人観光客244人を乗せたクルーズ船スーパースター・リブラが同湾港に寄港した。だが客のほとんどはすぐに大手旅行会社が準備した観光バスに乗り込み、首里城や美ら海水族館、沖縄アウトレットモールあしびなーなど沖縄を代表とする観光スポットへ向かった。中城湾港が玄関口になるものの沖縄市内の観光地に滞在しない“素通り観光”が露呈した格好となった。

 そんな中、沖縄市や観光団体が目を付けたのは乗客の2倍近くいる乗務員だ。リブラで働く乗務員数は約800人。停泊すれば3~4時間の休憩時間があるという。その時間を活用して、市内を巡るミニ観光ツアーやエイサー体験などの企画ができないか-。市観光物産協会の担当者は「クルー(乗務員)に沖縄市のことを知ってもらえば、乗客にも魅力が広がる」と期待する。

■モニタリング

 今回、リブラの乗務員が休憩時間中に足を運んだのは、港から数キロ離れたリサイクルショップや具志川イオン。中には湾港近隣のラーメン屋を探す乗務員もいたという。沖縄市観光推進課の担当者は、乗務員が求めるニーズの把握が十分にできていないことが課題として「今は手探り状態。寄港回数が増える中でニーズを細かく調べる必要がある」と話す。今後、リブラ寄港の際に乗務員のモニタリング調査を行う予定だ。

 琉球大学の下地芳郎教授(観光学)は「乗務員に焦点を当てることで沖縄の知名度向上にもつながる。クルーズ船を受け入れる地域としてコンテンツをどう作っていくかが求められる」と話した。