滞在先の東京の住宅街で、こいのぼりをまったく目にしていないことに、はたと気付いた。マンションのベランダからのぞく小ぶりのものさえ見えない

▼最近は室内用が人気と聞いたが、代わりに目立つのはベビーカー。このゴールデンウイークは、住まいや子育て環境などの変化から季節行事のありようも変わる都会暮らしを如実に実感した

▼翻って、沖縄では小学校など公的な場のみならず、イベントで揚げることも増えた。30メートルの大物を含む約2万3千匹を青空に泳がせる「平和祈念こいのぼりまつり」のように大量化、巨大化している

▼古くは「こどもの日」の祝日制定が1948年の本土より遅い62年の沖縄。休日を前に前夜祭で祝い「舞台正面には長さ12メートルもある真鯉(まごい)を泳がせた」と本紙は記している。遊戯とともに「屋根より高い…」で始まる定番の「こいのぼり」を歌う子どもたちの声もこだましただろう

▼歌い継がれた唱歌は、かつて作者不詳だった。著作権をめぐる裁判を経て「チューリップ」などと共に近藤宮子さん(故人)の作品だと確定したのは93年。発表から実に60年余、近藤さんは86歳になっていた

▼「こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかる」きょうの日の象徴は、江戸時代から続くこいのぼり。いつの世も誰もが願うのは一つ。高く元気よくあれ。(与那嶺一枝)