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  • 脳性まひ治療のため、きょうだい間の移植を目指す団体が発足
  • 胎児の血液(臍帯血)の移植で運動機能が改善した研究例もある
  • 現在、きょうだい間移植は認可されておらず団体は国に働きかける

 脳性まひを患う息子の万然(ばんねん)君(6)の症状を改善しようと、沖縄県北中城村の後藤道雄さん(67)と妻典子さん(44)が、きょうだい間での臍帯血(さいたいけつ)移植の道を探している。国内で脳性まひ治療への臍帯血移植は2017年、高知大学医学部附属病院が、脳性まひ患者への自身の臍帯血移植の臨床研究を始めたばかり。きょうだい間移植は認められていない。実現に向け後藤さんは今月、市民団体「さい帯血による再生医療推進ネットOKINAWA」を立ちあげ、国への働きかけなどに取り組む。(社会部・比嘉桃乃)

後藤万然くん(右)の頭を優しくなでる母典子さん=北中城村の自宅

臍帯血を利用する脳性まひ治療のイメージ

後藤万然くん(右)の頭を優しくなでる母典子さん=北中城村の自宅 臍帯血を利用する脳性まひ治療のイメージ

 臍帯血は、母親と胎児を結ぶへその緒と胎盤の中に含まれる胎児の血液。白血病など血液の治療法の一つとして第三者への移植も実施されている。近年は、脳性まひや難聴、自閉症など現在、十分な治療法のない症状への利用の可能性が注目されている。

 米国のデューク大学では、15年から脳性まひを患う15人の子どもたちにきょうだい間での臍帯血移植を実施。運動機能の改善がみられた子もいたという。

 国内では高知大附属病院が17年から、脳性まひの子どもに自身の臍帯血を移植した治療の安全性確認を目的とした臨床研究に取り組んでいる。

 万然君は生後6カ月の頃、風邪ウイルスの感染で脳性まひとなり、視覚障害と手足にまひがある。

 今年3月、典子さんの妊娠が分かったことがきっかけで、夫妻はお腹の子の臍帯血を使ったきょうだい間移植の可能性を考えるようになった。民間の血液バンク機関や病院に協力を依頼し、11月の出産時に臍帯血を保存する手続きを進めている。道雄さんは「万然に色のある世界を見せたい。少しで良いから自由に手足が動かせるようになってほしい」と願っている。