お笑いタレントの前田健さんが4月、虚血性心不全(虚血性心疾患)のため44歳の若さで死去した。心臓の筋肉に血液を送り込む冠動脈が閉塞(へいそく)したり狭くなったりして心臓の働きが低下した状態。虚血性心疾患に詳しい豊見城中央病院循環器内科部長の新崎修医師は「日本一の肥満県といわれる沖縄では、他府県に比べて40~50代の働き盛りの世代で発症のリスクが高い」と警鐘を鳴らしている。(学芸部・座安あきの)

虚血性心疾患のポイント

新崎修医師

虚血性心疾患のポイント 新崎修医師

 虚血性心疾患は生活習慣病に関わる高血圧や高脂血症、喫煙、肥満などが引き起こす身近な病で、突然死の原因の大半を占める。ファストフードや居酒屋などの利用が多く、「高カロリーの食事や運動不足が指摘される県民がリスクにさらされているのは間違いない」と新崎医師。

 心筋梗塞など虚血性の心疾患を引き起こすまでには、不安定狭心症の胸部圧迫の症状を繰り返す人が多い一方で、前兆となる自覚症状がほとんどないまま突然、発症するケースも3~4割あり死に至ることも少なくない。

 「予防の第一歩は、年齢にかかわらず、生活習慣を含めて自分の健康状態を知ることから」

 健康状態を把握するきっかけとなる職場の定期健康診断で、沖縄は何かしらの異常が見つかった「有所見率」が全国平均を10ポイント以上上回る63・8%(2014年)で全国ワースト。中でも血中脂質、血圧、肝機能など「生活習慣病」に関連する有所見率が高い上、再検査のための2次健診を受けない人が多いことが、疾患が増加する背景にあるとみている。

 「気になることがあれば放っておかず、早めに改善を心掛ければ重篤にならずにすむ」と同医師。取り組みやすいウオーキングなどの軽い運動でも「習慣化」させることが重要になる。

 急死した前田さんは周囲に不整脈の持病があると話していたという。倒れた日はお笑い番組の企画で50メートル走や走り高跳びなど激しい運動をし、体調不良を訴えていた。病状が進んでいたにもかかわらず、過度な運動をしたことが身体に大きな負荷となった可能性がある。

 しかし、患者にとって「運動が厳禁というわけではない」という。脈拍や血圧を観察しながら適度な有酸素運動を取り入れる「心臓リハビリテーション」が治療の予後に効果的だということが分かってきた。「自分の健康は自分で守るしかない。漫然と過ごしていては症状を見過ごしてしまう。自分の問題として真面目に考えてほしい」と話した。