演目が同じでも踊る人が違えば、趣が変わる。踊り手が一緒でも年齢によって味わいに変化が出る。舞踊とは実に不思議な芸術だ

▼生身の肉体が舞台で生み出す特別な時間の流れ。そんな通り過ぎ消えていく一瞬を切り取り、動いているときには見えなかったものに気付かせてくれるのが舞台写真の魅力▼パレットくもじの那覇市民ギャラリーで開催中の大城弘明さん、洋平さん親子の写真展「琉球芸能の足跡」を見て、あらためてそう感じた。弘明さんの200枚と洋平さんの150枚が、ずらりと壁に並んださまは見応えがある

▼1973年から2018年まで、親子2代のレンズが定点観測のように捉えた45年の琉球芸能の姿。中には元芸能担当記者として「おやっ」と思うこまがいくつも

▼例えば組踊の化粧。1970年代には赤みがかった頬紅が、最近は落ち着いた肌色になっている。洋平さんの最近のカットに目を移すと、男性舞踊家が増えてきたことが自然と目に付く。彼らの独演会の写真の中には、本番前の緊張感がみなぎる支度(したく)の様子や、終演後のリラックスした姿も

▼伝統芸能の担い手や観客の減少に歯止めをかけ、舞台と客席を近づけようという若手舞踊家の思いを代弁しているのだろうか。実演家も、舞台を楽しむだけの人も、きっと新たな発見がある。写真展は19日まで。(玉城淳)