沖縄県名護市辺野古沖の新基地建設予定海域で、海上警備を請け負うマリンセキュリティーの複数の従業員が、沖縄タイムスの取材に応じた。日ごろは帽子やサングラス、マスクを着け、その表情はうかがい知れない。過酷な勤務実態に苦しむ心情を初めて明かし「理不尽だ」と訴えた。(北部報道部・阿部岳、中部報道部・赤嶺由紀子)

沖縄県名護市辺野古沖

 ある男性は、求人誌を見て応募した。仕事の内容が分からないまま、日当9千円とだけ聞かされた。労働基準法で会社に義務付けられる労働条件の明示や、契約書もなかった。

 沖縄県内外から集まる100人以上と働き始め、まず拘束時間の長さに驚いた。「これだけ長ければ9千円は当たり前。最初から分かっていたら、魅力には感じなかった」

 漁船で1度海上に出ると、基本的にトイレにも行けない。「ペットボトルを持って行くか、我慢するか」。支給される「昼食」は菓子パン1個と缶コーヒー1本だけという日も多い。

 新基地建設に抗議する市民の船やカヌーが立ち入り禁止の臨時制限区域に近づくと、暗記している定型の警告文をハンドマイクで告げる。「立ち入り禁止です。速やかに退去してください」。ビデオカメラで監視、撮影しているうちに船酔いし、もどしてしまう人もいる。

 厳しい勤務と、支払われない残業代。男性は「国の仕事でこんなに理不尽な働き方をさせられるのは納得がいかない」と怒る。

 別の男性は「反対派に常に見られているという緊張感がある」と明かす。「全国的にも注目される事業なのに、労基法違反がまかり通っている。会社には仕事を適正に評価してほしい」と望んだ。