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  • USJ撤回に沖縄誘致を後押ししてきた首相官邸の落胆は深い
  • 県側にも失望感が漂うが「美ら海水族館を守れた」と安堵感も
  • 辺野古問題と絡めて「最初から“話クヮッチー”だった」

 ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)が、沖縄進出の撤回を伝えた。一企業への対応では異例の支援体制を敷いた首相官邸はショックを隠せず、菅義偉官房長官は落胆をあらわにした。県側にも失望感はあるが、集客力がある美ら海水族館を“外資”から守れた安堵(あんど)感も漂う。政府がUSJ進出を、辺野古新基地建設に理解を求めるてこに使うという警戒感を持っていた県関係者からは「最初から筋の良くない話だった」と冷静な見方も上がる。(東京報道部・上地一姫、政経部・吉田央、平島夏実)

USJの沖縄進出計画が見送られ、報道陣の取材に応じる安慶田光男副知事=11日午後、県庁

 「きょうの10時半、官邸にUSJ幹部が行き、沖縄での建設断念を伝えた」

 11日午後の衆院決算行政監視委員会。県出身でUSJ首脳とパイプのある下地幹郎氏(維新)が、質問で明らかにした。

 下地氏は「午後4時半に沖縄にも伝える」とも明かしたため、USJを担当する安慶田光男副知事の執務室前に報道陣が殺到した。

 「沖縄進出を見送りたい」

 USJのジャン・ルイ・ボニエCEO(最高経営責任者)は那覇市内のホテルで安慶田氏と会談し、通告した。

 「沖縄に魅力がないのですか」「他県に行かれるのですか」。安慶田氏は懸命に食い下がったが、CEOの意志は変わらなかった。

 会談は「2、3日前」(県幹部)にセットされたが県側に内容は知らされておらず、幹部の1人が「想定外。沖縄進出に向けた調査の結果報告や意見交換だろうと思っていた」とぼやくほど、寝耳に水だった。

 落胆がより深いのは、政府だ。官邸は和泉洋人首相補佐官をUSJ担当に任命し、安慶田氏のカウンターパートとして支援体制を敷いていた。

 政府高官は「公園は美ら海水族館以外はあまり客がいなくてもったいない場所。特区などできる支援はやると伝えていたんだが」と無念さを口にする。別の政府関係者は「経営者が代わり、集客力などを挙げられるとやむを得ない。県も含めてもっとできることはなかったか」。

 ただ、県側の認識は、落胆だけではない。

 進出断念の理由は、県幹部の間で「大株主や新役員の意向」との見方で一致する。別の幹部は「沖縄観光も右肩上がり。こちらに落ち度があったわけではなかった」と胸をなで下ろす。

 進出予定地だった海洋博記念公園(本部町)で、特に高い集客力を誇る美ら海水族館。運営財団幹部は「県民の財産」と誇りを持ち、沖縄近海の海洋生物や植物などの学術研究機能も兼ね備える。「営利企業が経営すれば、直接の利益を生まない部門は切り捨てられる」(財団OB)との警戒感もあった。

 USJ側は進出時の施設規模や事業計画を具体的に公表していたわけではなく、観光を担当する県幹部には「生煮えの構想」とも映っていた。

 県庁内には、政府がUSJ進出に肩入れしてきた理由を「辺野古の新基地建設に理解を得る手段の一つ」とする冷めた観測もある。翁長雄志知事の周辺からは、知事の口癖を引用し、こんな表現が漏れた。「最初から“話クヮッチー”(話のごちそう、実現性が乏しい話)だったんでしょ」