大阪市の米映画テーマパーク「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」(USJ)の運営会社が、県内へのテーマパーク新設計画の撤回を決めた。

 同社CEO(最高経営責任者)のジャン・ルイ・ボニエ氏が、安慶田光男副知事に会って伝えた。ボニエ氏は、進出を後押ししてきた政府側にも撤回を報告した。

 なぜ、沖縄進出は白紙になったのか。運営会社は昨年11月に米メディア大手に買収されており、新たに発足した経営陣が計画を見直し、大阪の既存施設に投資を集中させる判断をした、というのがその理由だ。

 沖縄での計画は、大阪の施設のように映画をテーマにしたものではなく、沖縄の自然をテーマに展開する方針だった。本部町の海洋博公園が候補地として有力視され、東京五輪が開催される2020年までの開業を目指していた。

 撤回を伝えられた安慶田副知事は、記者団の取材に「沖縄観光のブランド力の向上につながると考えていたところであり、非常に残念」とコメントした。

 USJといえば、魅力的なアトラクションを備え、高い集客力を誇るテーマパークだ。その運営会社が、沖縄の自然を戦略的に生かし、どのような施設を展開するのか、注目を集めていた。沖縄のさらなる観光振興の起爆剤となるとの期待もあった。

 ただ、進出の規模や事業計画が具体的に公表されたわけではない。今となっては断片的な情報に振り回された感は否めない。

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 沖縄への進出計画は、大阪のUSJが手狭になる中で、運営会社側の成長戦略として浮上した。

 九州・沖縄やアジアを新パークの候補地として検討を進め、15年3月に当時のグレン・ガンペルCEOが沖縄進出の方針を表明した。同年7月には翁長雄志知事を訪ね、協力を求めている。

 一連の経緯で際立ったのは、政府の強力な肩入れだ。

 菅義偉官房長官は沖縄進出への全面的な支援を繰り返し表明した。政府は、海洋博公園の活用に向けて、国家戦略特区の適用も模索した。16年度沖縄関係予算では、北部地域大型観光拠点推進調査費として1億2千万円をつけた。

 1企業の進出に対する国の支援としては極めて異例であり、政治主導の誘致には違和感がつきまとう。「辺野古の新基地建設に理解を得る手段の一つ」と見る向きも強かった。

 撤回を受けた県内関係者の反応が、落胆ばかりではなく安堵(あんど)など比較的冷静なのも、そのためだろう。

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 計画が白紙になったとはいえ、国際的なブランド力を持つUSJ側が北部の豊かな自然に着目したことは自信を持っていい。

 最有力候補地となった海洋博公園を運営する美ら島財団が長年培ってきた学術研究機能も県民の宝である。

 大型資本は振興の起爆剤となり得るが、一方で、地元が主体となった地域の魅力の創出も大事だ。沖縄観光をあらためて考える機会としたい。