2016年にレタスが1玉1350円まで高騰したことがある沖縄県南大東村。希少価値で値段が高い葉野菜を低価格で安定的に島民に届けようと、村が地産地消の促進に力を入れている。コンテナ式植物工場を整備し、ことし4月から葉野菜の水耕栽培を始めた。6月には島内五つのスーパー・商店に出荷をスタート。リーフレタス、チンゲンサイ、水菜、小松菜が1袋一律180円で手に入るようになり、島民は喜んでいる。(南部報道部・高崎園子)

野菜のコンテナ工場で水耕栽培したリーフレタスをチェックするスタッフ=南大東村

 「島では、特に台風シーズンの夏場に葉野菜が圧倒的に不足する。船が入らない期間が長くなると、島外からの野菜は仕入れ価格に伴って高騰し、買い手がつかずに廃棄処分となることもあった」

 南大東村産業課の川満廣司課長は島の野菜事情をそう説明する。

 開拓当時からのサトウキビの島。ほとんどの農地が収入源となるサトウキビで占められている。野菜を作っている農家はいるが、主に自分たちで食べる分で、島内の供給を満たせる量は無かった。

 必然的に島外から入る野菜に頼ることになる。1350円は異常事態だったが、レタスの平均価格が800円だった時期もある。

 「葉野菜は保存できないので、島では船が入ったときだけ食べるという習慣が身についてしまっていた」(川満課長)と健康的な食生活を維持するのもままならない状況があった。

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 こうした現状を改善しようと、村は2017年度、内閣府の「沖縄離島活性化推進事業」を利用して、葉野菜を水耕栽培できる、長さ12メートルのコンテナ2基を整備した。事業費約4千万円のうち、約3千万円は補助がついた。

 村旧東にあるコンテナ工場にはスタッフ6人が交代で勤務し、水や液体肥料を管理、4種類の葉野菜を栽培している。

 工場内は無菌状態のため、害虫がつかず無農薬で栽培できる。リーフレタスはおよそ35日で収穫できるなど計画的な出荷が可能だ。

 スタッフの一人は「露地ものよりえぐみが少なく、『柔らかくておいしい』と島民から好評。『ぜひ継続してほしい』と声を掛けられる」と話した。

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 これに先駆け、村はハウス2棟も整備しており、葉野菜のほか大根、トマト、なすなどを栽培、島内に出荷している。

 村やJAのメンバーでつくる「南大東村地産地消促進協議会」が、島内の農家を回って野菜を買い取り、スーパー・商店などに販売する取り組みもある。

 島でホテルを営む吉里英利子さん(46)は「村が地産地消に力を入れるようになってから、地元の旬な野菜を3分の1から5分の1の値段で買えるようになった。島民にとってありがたい」と笑顔を見せた。

 川満課長は「地産地消は輸送にコストが掛かる離島にとって重要な課題だ。野菜コンテナ工場やハウスはその取り組みの一環で、今後も野菜の種類やコンテナ数を増やすなどして、島民のニーズに応えていきたい」と語った。