「君知るや名酒あわもり」とうたわれ根強いファンをもつ泡盛が、かつてないほど苦境に立たされている。

 2015年の総出荷量は前年比で3・9%減となり、11年連続で減少した。

 泡盛製造業等振興策検討委員会(委員長・下地芳郞琉大教授)は昨年10月、このまま減少傾向が続けば、今後10年間で総出荷量はさらに4割減少し、売上高は半減する、との試算をまとめた。

 来年5月には、復帰特別措置法に基づく酒税の軽減措置(軽減率は泡盛35%、ビール20%)も期限が切れる。軽減措置が撤廃されれば、泡盛業界は文字通り、危機的な事態を迎えることになる。

 業界団体は国や県に軽減措置の延長を要請することを決めているが、「いつまで税金頼みの経営を続けていくつもりか」という厳しい声が上がるのは避けられない。これにどう答えていくか。

 泡盛振興という目標には誰も異論がない。行政も県民もその思いを共有している。だが、そのことが業界の内部改革を遅らせ、協業化を阻み、対応が後手に回ったのではないか。

 東京商工リサーチ沖縄支店がメーカー45社の経営状況を調べたところ、売上高(14年12月期~15年12月期)1億円未満の企業が全体の53%(24社)を占めた。

 零細企業が多く1社だけで状況に対応するのは容易でない。

 企業の自助努力と業界全体の危機意識の共有、行政の支援がうまくかみあわなければ状況を打開するのは難しい。

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 泡盛の低迷は、若者のアルコール離れや消費者の好みの多様化などが原因だと言われている。泡盛製造業等振興策検討委員会は、泡盛復活を目指し、8項目の提言をまとめた。

 ここで取り上げたいのは、新商品開発や販路開拓などではなく、業界の信頼性を高めるための取り組みである。

 泡盛業界には酒税の軽減措置という形で税金が投じられているにもかかわらず、世襲の零細企業が多いこともあって、決算数値を公表しているところは少ない。

 軽減措置の継続を要請するのであれば、経営の透明性の確保は不可欠だ。

 特別措置の延長を繰り返し要請してきたのはなぜなのか。どこに問題があったのか。今後、どのような方法で経営改善を図っていくのか。県民が納得できるような説明が必要である。

 本島中部の企業では、役員給与が「不当に高額」だと国税事務所から指摘され、裁判にもなった。

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 クース(古酒)の不当表示問題を受け、県酒造組合は昨年8月から表示方法を変更し、3年以上貯蔵したクース100%の泡盛でなければクースを名乗ってはならない、ことにした。

 泡盛業界は今、正念場を迎えている。零細企業の多い業界の「不利性」をどのようにして克服していくか。泡盛は沖縄文化が生んだかけがえのない遺産である。その振興は単なる私企業育成を超えたものがあることも事実だ。