琉球舞踊や組踊の琉球王府での担い手は男性だった。一方で両ジャンルの戦後復興を下支えしたのは女性舞踊家たち。現在、国の重要無形文化財「琉球舞踊」保持者として第一線で活躍している先生方だ

▼だが琉舞の保持者で過去の実績があっても同じ重文の「伝統組踊」の舞台に立方として出演することはできない。王国時代の出演者が士族の男性だという「伝統」があるから

▼そんな中、県立芸大卒業生などを中心に組踊に挑戦する女性が着実に増えてきている。立方や地謡の演じ手だけではない。9日に上演される新作組踊「越来真鶴姫」の作者は舞踊家の喜屋武愛香さん

▼「命をつなぐ女性の目線で、平和とは何かを問う作品を創作したいとずっと考えていた」。主人公に選んだのは沖縄市の越来城で生まれた美しく聡明(そうめい)な姫君。父親が琉球国王・尚泰久となり、百十踏揚(ももとふみあがり)と名前を変えた彼女が嫁いだ阿麻和利と、中城城主の護佐丸の政争に巻き込まれる人生に焦点を当てた

▼玉城朝薫ら士族が手掛けた作品に限らず明治以降の組踊も、女性客に支持された沖縄芝居も、作者のほとんどは男性。女性の書き手もいるが、その数は圧倒的に少ない

▼喜屋武さんの挑戦は2019年に初演から300年を迎える組踊に、新しい視点をもたらしてくれる。沖縄芸能の次代への扉が開かれる。(玉城淳)