ノートをのぞき込んだ取材相手に「速記ですか」と真顔で尋ねられ、恥ずかしい思いをした経験は、一度ではない

▼あまりに乱れた字は判読不能。ひどいときには当の本人も読めず、記憶や文脈を頼りにしたが、ペンが追い付かず尻切れ。決定打となる述語が後ろに来る日本語の特性も重なって青くなったのもまた、一度ではない

▼工夫したのは語彙(ごい)を記号化すること。画数が多いうえに、頻繁に話題の主語となる「沖縄」は、かくしておという記号におさまった。以降、メモで沖縄と記すことはない

▼4年後には「おきなわ県」と書いてきた小学生も「沖縄県」と書けるようになるらしい。文部科学省が都道府県名の漢字すべてを、小学校国語で学ぶよう次期指導要領案に盛り込むからだ。追加する漢字は20字、小学校で習うのは1026字に増える

▼そう難しそうに見えず、福岡や岡山、静岡に使われている「岡」を学んでないのは意外だが、6年前まで常用漢字ではなかったから無理もない。一方で、難しい「縄」は理解できても、「沖」と共に前から常用漢字だったのに47都道府県で唯一、二つとも選ばれてなかったのは寂しい

▼選ぶ基準は児童の「日常や学校生活などで必要な用語」。そう聞けば記号化するほど使った身としては、笑われてもへそを曲げて漢字に戻したくなる。(与那嶺一枝)