春はスギ花粉症の季節。鼻水、くしゃみ、鼻づまりの主症状のほかに目の痒み、流涙、頭重感、さらにイライラ感、睡眠不足などで日常生活に大きな支障をきたします。沖縄にはスギがないのでスギ花粉症は多くありませんが、家ダニによるアレルギー性鼻炎がとても多いのです。

 アレルギー性鼻炎の治療法としては、アレルゲンの除去・回避、薬物療法、免疫療法、手術などがあります。このうち免疫療法が現在最も根治的と考えられています。免疫とは簡単に言うと“自己以外のものを排除する働き”ということです。ダニなどアレルゲンとよばれる異物が鼻に入ってくると、IgE抗体が体内に作られます。これは鼻の粘膜にある“肥満細胞”の膜に結合します。

 次にアレルゲンが入ってくるとIgE抗体と結合して肥満細胞膜が破れて、細胞内にあるヒスタミンなどの物質が鼻粘膜内に放出・拡散し、くしゃみ・鼻水・鼻づまりが起こり、アレルゲンが排除・ブロックされます。この免疫の働きが過剰になっているのがアレルギー性鼻炎といえるのではないでしょうか。

 ダニアレルギー性鼻炎の免疫療法は、ダニアレルゲンを舌下に入れて口腔粘膜より吸収させ、体内にIgG抗体やIgA抗体というグロブリンを産生させ、これらが肥満細胞膜のうえのIgE抗体とダニアレルゲンとの結合を阻害することにより症状の発現を抑え込もうとする療法です。

 ダニアレルギー性鼻炎に対する舌下免疫療法の実際は、ダニアレルゲン錠剤を舌下に入れます。錠剤は口の中で速やかに溶けますが1分間口内に保持した後のみこみます。その後5分間はうがいや飲食は控えます。内服前後の2時間は激しい運動、アルコール摂取、入浴などは控えます。糖尿病などの薬と同じように毎日内服します。即効性ではないので数年続けます。

 12歳以上の小児と成人でダニによるアレルギー性鼻炎と診断された人が受けられます。治療開始の初期に口腔内の違和感、舌や口内の痒み腫れ、その他の軽い副反応がありますが、治療を中止するに至るものではありません。注射による免疫療法にまれに起こったアナフィラキシーショックのような重い副反応はないようです。免疫療法は効果が出てくるまでに長期間を要するのでそれまでの間内服薬や点鼻薬の使用は差し支えありません。

 薬を飲んでもなかなか症状が良くならないとか、副作用が強いなどお困りの方はこの免疫療法を試してみたらどうでしょうか。(本村昌一 もとむら耳鼻咽喉クリニック)