生活に密着した事務を扱う市町村は、住民にとってもっとも身近な存在だが、市町村議会に対する住民の関心は低く、議会と住民との距離は案外、遠い。

 議員が普段、何をしているのかよく分からない、という人が多い。選挙になっても投票の判断材料となる十分な情報が有権者に提供されないため、誰に投票していいか分からない。

 選ぶための情報が少ないと、政策と関係なく投票するしかない。投票そのものを棄権する人も出てくるだろう。

 9日に実施された県内25市町村(5市5町15村)の議会議員選挙では、そのような否定的な現実が浮き彫りになった。

 25市町村のうち18市町村で、前回2014年の投票率を下回った。名護、沖縄、宜野湾、南城、石垣の5市は、軒並み前回を下回っている。 名護市の投票率は65・04%。前回に比べ5・36ポイント下回り、過去最低を記録した。

 5市の中で投票率がもっとも低かったのは沖縄市で、50%にも満たない49・64%にとどまっている。

 沖縄市の議会議員選挙は、定数30に36人が立候補する激戦だった。それなのに投票率が50%にも満たないのはどういうことなのか。

 実は沖縄市は、4月に実施された市長選の投票率も47・27%にとどまった。

 有権者が選挙や政治に関心がないのではなく、もっと別の要因が働いているのではないか。市当局や市議会、市選管、政党はこの現実を深刻に受け止めるべきである。

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 今回の選挙は、選挙権年齢が18歳に引き下げられてから初めての統一地方選だった。

 若い人たちが大挙、有権者の仲間入りをしたことになるが、候補者は、彼ら彼女たちに政策を分かりやすく伝える努力をしただろうか。

 市当局は、選挙公報などを発行して選挙を身近なものにする工夫をしただろうか。

 新たに有権者になった人たちは、ほとんどがスマホを持ち、ネットで情報を入手している。立候補者は、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を利用して投票の判断材料となる情報を提供しただろうか。

 投票率が低下し続けるのは、地方政治に対する関心の低下を意味するだけに、放置すべきではない。

 名護市では投票率が過去最低を記録したのに、期日前投票は前回より4・1ポイント上回り、32・1%となった。これはどういうことなのか。

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 地方議会には首長の独走を監視したり、住民の声を吸い上げ行政に要求したり、政策立案能力を高めて議員自ら条例を提案するなどの役割が与えられている。

 だが、現実は地域住民の代表としての機能が十分に果たされているとは言い難い。

 地方議会が抱える問題は多いが、議会改革は県内においてもまだ道半ばである。女性議員も極めて少ない。

 議会活動に対する有権者の関心が低下し、投票率が下がり続ければ、地方自治そのものが硬直化し、「あなたまかせ」になりかねない。