沖縄の陶工を追ったドキュメンタリー映画「あめつちの日々」が東京で上映されている。読谷山焼北窯の松田米司さんを中心に、沖縄の伝統や文化に誇りを持ち、作陶する姿に迫っている

▼「やちむんは特に若い世代に人気なんですよ」と、監督の川瀬美香さんに聞いた。そう言われてみれば、有名服飾ブランド店が店内のディスプレーとしてやちむんを使ったり、全国展開する雑貨店が都心で展示会を開いたりと、こちらが「おや?」と思う場面にたびたび出合う

▼身近にある素材を生かし、作り手が丹精をこめた品々に「良さ」を感じているようだ。川瀬さんは、若者が経済効率至上主義のおかしさを見抜き「これからの時代の大事な価値に気づいている」とみる

▼焼き物だけではない。首里織の織り手、ルバース・ミヤヒラ・吟子さんの作品展が高級百貨店で開かれた時にも、伝統工芸の「底力」を実感した。品格ある作品に、目の肥えた客から高い評価の声が聞かれた

▼職人の手で受け継がれてきた全国各地のものづくりだが、工業化の荒波にのまれて先細り、風化の危機にさらされて久しい。沖縄の工芸はその中にあっても、健闘しているといわれる

▼足元の価値は、外から気づかされることが往々にしてある。時には工房を訪ね、かけがえのない価値を再発見してみたい。(宮城栄作)