翁長雄志前知事の急逝に伴う沖縄県知事選がきょう告示され、投開票の30日に向け、17日間の選挙戦に突入する。今年最大の政治決戦である。

 安倍政権が支援する前宜野湾市長の佐喜真淳氏(54)=自民、公明、維新、希望推薦=と、翁長氏の後継で自由党衆院議員の玉城デニー氏(58)の事実上の一騎打ちとなる見通しだ。

 最大の争点は、辺野古新基地建設問題である。安倍政権による工事の強行に対し、県は「撤回」に踏み切った。法的根拠を失い、工事はストップ。政府は対抗策をとるタイミングを見計らっている。そんな中で実施される知事選である。

 県政記者クラブ主催の討論会で、米軍普天間飛行場の返還について佐喜真氏は「世界一危険な普天間飛行場を一日も早く返還することを第一に考えるべきだ」と強調した。玉城氏も安倍晋三首相が約束した5年以内の運用停止の期限が来年2月であることから「約束したことを実行するよう求める」と言っている。

 普天間の早期返還では一致しているのである。

 問題はそれを実現するために辺野古新基地建設を認めるかどうかである。

 玉城氏は「国は法に基づいた県の撤回に従うべきだ」と新基地建設の断念を求めた。佐喜真氏は裁判に言及し「注視しなければならない」と争点については語らなかった。

 沖縄の未来をどう描くか重要な問題である。新基地建設の是非について有権者に判断材料を提示してもらいたい。

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 新知事は任期中に復帰50年を迎え、次期沖縄振興計画を策定する重要な役割を担う。

 個別の経済政策について大きな違いはなかったが、政府とどう向き合うかによって違いが出ている。

 佐喜真氏は「県政が代わって一括交付金が減額され、県民生活に大きな影響を及ぼしている」と指摘した。原因を政府との対立や争いを繰り返した翁長県政にあるとし「対話を通じて県民を豊かにする」と協調路線への転換を訴えた。「対立から対話へ」というのはそういう意味だ。

 玉城氏は新基地に協力的であるかどうかで予算を増減させるのは、国の責務として実施している沖縄振興策の趣旨をゆがめ、「地方自治を毀(き)損(そん)する」と批判した。予算は「『米軍基地との引き換え』ではない」と指摘し「アジアのダイナミズムを取り込んだ」自立型経済の構築を唱えた。

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 討論会はこれまで2回しか開かれていない。従来の知事選ではマスコミ各社が立候補予定者の討論会を実施してきたのに比べると、極端に少ない。政策を浸透させるために沖縄が抱えるさまざまな問題について有権者に政策を訴える場を設けるべきである。

 今回の知事選ではネットなどで候補者個人を誹(ひ)謗(ぼう)中傷する言葉や出所不明の情報が大量に出回っている。選挙でフェイクニュースが拡散するのは世界的な傾向であるが、公正な選挙を危うくするものである。有権者は惑わされることなく、冷静な目で政策を吟味してほしい。