県知事選が告示され出発式で第一声を上げる(左から)佐喜真淳氏と玉城デニー氏(撮影・沖縄タイムス)

 沖縄県知事選挙は2018年9月13日告示され、30日の投開票に向け決戦が始まった。メディアを含め一般的には、普天間飛行場の名護市辺野古移設問題が「最大の争点」だとみているが、自民、公明、維新、希望が推す佐喜真淳氏(前宜野湾市長)は辺野古埋め立ての賛否を明確にしないため、争点化できず空回りが続く。他方、翁長雄志前知事の遺志を継ぎ、「オール沖縄」勢力が推す玉城デニー氏(前衆院議員)は前県政の政策踏襲を意識しすぎるあまり新味に欠ける。候補者に求められる政策論が乏しい気がする。

低調な基地論戦

 両者とも公約に掲げた政策の中で、「基地」の優先度は低い。佐喜真氏は10項目のうちの9番目、玉城氏が15項目の14番目と申し合わせたようにいずれも最後から2番目の扱いだ。振興策や子育て、教育、福祉といった生活に密着した政策が有権者に受けがいいと両陣営とも考えているのだろう。メディアが報じるほど基地問題、辺野古は争点化されていない。

 佐喜真氏は公明党との政策協定で海兵隊を大幅削減する米軍再編の前倒しを公約に盛り込んだ。玉城氏は辺野古埋め立て阻止、普天間の運用停止、オスプレイ配備に反対を主張する。こうした主張がどれほどの有権者に響くのだろうか。まずもって海兵隊があまり知られていない。

 海兵隊が沖縄で最大兵力の米軍部隊であり、普天間飛行場を含め在沖米軍基地の約7割を占有している。佐喜真、玉城両氏とも海兵隊が使用するオスプレイ配備に反対するが、その意味を知っているのか首をかしげたくなる。海兵隊を自動車に例えるとオスプレイはタイヤのような存在で、タイヤなしに自動車は動かない。機能不全であれば駐留の意味がなく海兵隊は出ていかざるを得ない。海兵隊がいなくなれば普天間は不要となり、辺野古への移転計画も自然消滅する。

 つまりオスプレイに反対する両氏とも海兵隊の撤退を要求していることになる。その具体的な意味合いについては後半の「論点整理」で詳述するが、不思議なのは両者とも撤退論にはまったく言及していない点だ。

 そもそも政府も海兵隊がなぜ沖縄に駐留するのかをちゃんと説明していないため、なかなか議論が深まらない。自民党総裁選候補の石破茂氏が「沖縄県民へのメッセージ」として自身のホームページで基地問題について触れ、本土の反基地闘争が原因で沖縄に海兵隊が移転した歴史を語った。

 「沖縄への基地集中は、1950年代に反基地闘争が燃え盛ることを恐れた日本とアメリカが当時まだアメリカの施政権下にあった多くの海兵隊部隊を移したからだと聞いている。海兵隊は岐阜や山梨に司令部があり、本土のあちこちに散らばっていたのを沖縄に集約する形で今日の姿が出来上がった」(http://www.ishiba.com/sousaisen/47_okinawa/)。