歌手の安室奈美恵さん(40)の引退まであと2日。沖縄から14歳でデビューし、国民的スターとなった歌姫を県外に住む沖縄出身者はどう感じてきたのか。

安室奈美恵さんの沖縄県民栄誉賞の受賞を伝える新聞号外

勝方=稲福恵子さん

宮里政之さん

金城馨さん

安室奈美恵さんの沖縄県民栄誉賞の受賞を伝える新聞号外 勝方=稲福恵子さん 宮里政之さん 金城馨さん

女性にとっての「具志堅用高」

 うるま市出身で、早稲田大の琉球・沖縄研究所長を務めた勝方=稲福恵子名誉教授は「沖縄コンプレックスの名残を抱えてきた団塊の世代」として、安室さんが本名を使い続けたことに「モダンなリズム&ブルースやヒップ・ホップの音楽シーンでは大変珍しいこと。覚悟を感じた」という。

 その上で「『生き馬の目を抜くような人気商売の芸能界』と『沖縄に生まれ育ったリアルな人生』とが重なり『安室奈美恵=沖縄』と感じられる効果を生んだ」。

 男性たちは具志堅用高さんがボクシングの世界王者となり「沖縄コンプレックス」が払拭(ふっしょく)されたが、女性たちのそれを果たしたのが安室さんとみる。

 「仕事、結婚、育児、離婚、引退という人生の節目節目でストイックに自ら決断し成功した。女性解放の視点からも、新しいスタイルを提示してくれた先駆者だと思う」

沖縄出身と言えるように

 沖縄が本土復帰した1972年に生まれ、19歳で大阪に移り住んだトラック運転手の宮里政之さん(46)=嘉手納町出身=は「なんて言っているか分からへん」と言葉をからかわれた時代から「沖縄出身であることを表立って言えるようにしてくれた存在」と感謝する。

 「彼女を皮切りに、MAXや宮里藍さんなど沖縄の元気な若者がたくさん出てきた。本土の人たちにとっては多少おかしいイントネーションが、魅力になった」と話す。

枠におさまらず自分を確立

 一方、沖縄関係の書籍などを所蔵する大阪市の関西沖縄文庫を主宰する金城馨さん(65)は「彼女の言葉や音楽に沖縄を感じることはなく、当初は作られたスターという印象で抵抗があった」と振り返る。

 だが、小室哲哉さんのプロデュースを離れて以降、「沖縄をブーム化させようとした人たちの枠内におさまらず自分を確立した。歌をやめず流れにとどまる選択もあったのに、最後まで意思を持ち得たのは単なるブームの一部分ではなかった」と語る。「そこは潔くて格好いいよね」