安倍晋三首相は25日夜、三重県伊勢市のホテルで開いた日米首脳会談で、冒頭、元米海兵隊員で軍属の男が逮捕された女性遺体遺棄事件について「断固抗議」し、米国に実効性ある再発防止策と厳正な対応を求めた。

 オバマ大統領はこれに対し、深い哀悼の意を表明するとともに、日本の司法の下での捜査に全面的に協力するとの考えを明らかにした。

 会談後の共同記者会見では、翁長雄志知事が求めた日米地位協定の抜本的な見直しについては両首脳とも、具体的回答を避け、否定的な姿勢を示した。

 安倍首相とオバマ氏は今回の凶悪事件の発生について「強い憤り」(安倍首相)と「非常にショック」(オバマ氏)を受けていることを明らかにしたが、共同記者会見では最も重要な点が触れられていなかった。

 両首脳は今回の事件のことは語っているが、このような凶悪犯罪が沖縄戦の最中から現在まで繰り返し繰り返し起きている事実に対して、どれだけ深刻に感じているのか、会見からはまったく伝わってこなかった。

 米軍関係者による凶悪な性犯罪が発生するたびに、沖縄県民は日米両政府から同じような言葉を何度も聞かされてきた。具体的な政策が示されない限り、沖縄の人々の怒りや悲しみ、両政府に対する不信感が解消されることはないだろう。沖縄との溝は深まるばかりである。

 翁長知事は23日の安倍首相との会談で、オバマ氏との面談の橋渡しを要請したが、実現しなかった。

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 翁長知事が直接面談を求めたのは、綱紀粛正と再発防止を何度求めても、米軍関係者による性犯罪が後を絶たず、女性の人権が侵害され続けているからだ。

 菅義偉官房長官は「一般論として安全保障や外交に関わる問題は、中央政府間で協議されるものだ」と翁長知事の要請を一蹴した。

 面談を実現させようと動いた形跡がみられない。

 女性の遺体遺棄事件は、安保や外交問題ではない。県民の生命を守る立場にある知事が米軍の最高司令官である大統領に訴えるのは当然の行動ではないか。

 その機会をつくろうとさえしない政府とはいったいどこの政府なのだろうか。日米両政府は基地撤去にも地位協定の見直しにも否定的だ。その場しのぎの再発防止策で幕引きとなるような事態だけは絶対に避けなければならない。

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 6月19日の大規模な県民大会に向け、日を追うごとに抗議の動きが広がっている。25日には軍属の男が勤務していた嘉手納基地前で、4千人(主催者発表)の緊急県民集会が開かれた。

 地元のうるま市議会をはじめ市町村議会でも抗議決議が相次いでいる。県議会は26日の臨時会で抗議決議を予定しており、与党・中立案が賛成多数で可決される見通しだ。

 沖縄が一つに結束し沖縄の声をもっともっと広げることが重要だ。すべての市町村議会に対し、意思表示することを求めたい。