八重瀬町港川の「みなとがわパヤオ鮮魚店」で、おやつ感覚の食べ物「いちゃいちゃ」が人気だ。かつては硬過ぎるとして捨てたりマグロ漁の餌にしたりしたというソデイカ(セーイカ)のミミを企業秘密の方法で軟らかくして揚げる。180グラム入り300円からという値段にもかかわらず、昨年は1千万円以上を売り上げた。ヒット商品の育ての親は、子どもと過ごす時間を増やすため大手建設会社を辞め、母から店を継いだ仲与志昌亮さん(44)だ。(南部報道部・堀川幸太郎)

母の味「いちゃいちゃ」をヒット商品に育てた、みなとがわパヤオ鮮魚店の店主・仲与志昌亮さん=八重瀬町港川の同店

 細い棒状の「いちゃいちゃ」は薄い衣の歯触りとイカの歯ごたえが調和した食感。食べ始めは塩、こしょうをベースとした辛みが強いが、かむほどにうまみが広がり、味の変化を楽しめる。

 先代店主で母の百合子さん(66)が開店した1999年、当時は食べ物として一般的でなかったミミを工夫して商品化。日に10袋ほどを細々と売り始めた。

 ヒット商品への転機は息子の昌亮さんの転職だ。昌亮さんは99年生まれの長男がバットとボールで遊ぶ姿を見て、野球を教える時間がほしくなった。現場監督として早朝から翌日未明まで働く日もあった勤め先に辞表を出し続けて2008年に認められた。

 家を与那原から八重瀬に移して母の店で働き、看護師の妻が多忙な日は3人の子に手料理をつくる。少年野球のコーチも務め、知人が地域に溶け込む後押しをしてくれた日々の中、ひいき客が多い母のアイデア商品を広めようと考えた。試食を重ね、手作り特有の味のばらつきを整えた。

 商品はイカを指す言葉「いちゃ」をリズム良く繰り返し、人と仲むつまじく食べてほしいと「いちゃいちゃ」と命名。

 11年から町商工会を通じて祭りや朝市に出品し「家族と?」「恋人と?」と客に話し掛けては目の前に商品を突き出すギャグを交えたセールストークで、口コミ中心に観光客まで客層を広げた。

 会社を辞め、店を継ぐ決断を後押しした長男は今、高校野球の強豪校で練習に励む。

 昌亮さんは「家族がいるから生まれた商品。いつだって感謝の一心です」と笑った。

 「いちゃいちゃ」は同店で180グラム入り300円、320グラム入り500円。糸満、南城、南風原の農産物直売所などでは180グラム500円のみ。

 問い合わせは同店、電話098(998)8622。