【南城】人口約200人の小さな島から、オリンピック選手が誕生した。重量挙げ男子62キロ級出場を決めた糸数陽一選手(25)の出身の南城市では、小中学校時代を過ごした久高島や、沖縄本島に住む家族に笑顔が広がった。「島民の誇り」「メダルを目指して」。8月の本番へ期待は高まる。

糸数陽一さんのリオ五輪出場を祝い、手製のすしを食べて喜ぶ母親幸子さん(右から4人目)と祖父母、きょうだい=28日、南城市知念知念

 南城市出身の糸数陽一選手がリオ五輪出場を決めた28日、市内の祖父母宅には母親やきょうだいが集まり、祖父のお手製のすしを食べて快挙を喜んだ。仏壇にも日本代表選出を報告。大会での無事を願い、家族で手を合わせた。

 母幸子さん(50)の携帯電話には、長男の陽一さん本人から連絡があった。「選出は確実」と報道で知ってはいたものの「選ばれたと聞いてほっとした。けがをせず、自分の力を発揮してくれたら」と話す。

 陽一さんは久高島で小中学校時代を過ごした。集落内を走り回っては「足が痛い」と母親にふくらはぎをもませたという。「自然の中で遊ぶことで、筋力をつけたのでは」と幸子さん。

 初孫の快挙に、祖母の宮城ツル子さん(74)は「天国へのいいお土産になったさー」と冗談を交えて笑顔。6人きょうだいの弟で豊見城高校3年の久明(ひさとし)さんは、正月も休まずに練習する兄の姿が印象に残っている。「自分に厳しいところがすごい」

 埼玉県に住む妹の加奈子さん(23)も重量挙げの道へと進んだ。兄の快挙に「やっぱりすごくうれしい。大舞台で実力を発揮してほしい」と喜ぶ。夢は2020年東京五輪できょうだい出場。「兄に負けないよう、国内外で戦える選手になりたい」と意欲を燃やしている。

■身近な先輩 久高島の子の励み

 コンビニエンスストアも、理髪店もない。そんな小さな島から、オリンピック選手が誕生した。先生や区長らは「島から世界へ羽ばたけると伝えたい」「島を挙げて応援する」と話し、島は喜びに包まれた。

 南城市安座真港から船で25分の久高島。琉球王朝時代に神事が行われ「神の島」と呼ばれる。西銘正博区長(64)は「こんな小さな島から五輪選手が出るなんて。ぜひメダルを目指してほしい」と話す。糸数陽一さんが来島する6月7日に祝賀会を開き、島を挙げて激励するつもりだ。

 糸数さんが通った久高小中学校は児童生徒23人の小規模校。県内外での活躍を伝える新聞があちこちに張られている。

 2年前には糸数さんの妹で重量挙げ選手の加奈子さん(23)も教育実習しており、活躍する2人は児童らにとって「身近なニーニー、ネーネー」だ。

 石川博勝校長と大城奈美江先生(39)は「島の子どもが世界へ羽ばたいた。身近な人が夢をつかみ取れば、生徒たちもそれぞれの目標に歩もうという気持ちになるはず」と喜ぶ。

 公務で来島した古謝景春南城市長は「小さな島から大きなことを成し遂げた。本番でも上位を目指してほしい」と激励した。