「特産が少ない」という言葉を八重瀬町で繰り返し聞かされた。「少ないのか」と町職員や中小業者に尋ねると、こんな答えが返ってくる。「広まっていない、というのが実情。問題は地元の人でも知らないという知名度だ」

町産のマンゴーなどを使った、スティックパイを考案した「パンとケーキのお店 デゼレト」創業者の新垣冬美さん=18日、八重瀬町東風平

 沖縄有数の農業地帯として知られる町。彩り豊かな町産野菜や果物を使って2009年から、中小業者らと商品開発やPRを続けているのが、統一ブランド「カラフルベジタブル」(カラベジ)を立ち上げた町商工会だ。品質を認めて現在18品ある「カラベジ推奨品」を売り込む。

 商工会の事務局長、新里司さん(46)は町の人口が昨年3万人を越え、ベッドタウン化の兆しもあることを踏まえて強調する。

 「那覇などで職場帰りに買い物をして、戻るだけの人が増えれば町への愛着は薄れる」

 商品価値が高い特産品開発やPRは、新しい住民が増える町に地域色を浸透させ、一体感を育む上でも大切-という考え方を示す。

 カラベジ推奨品にはことし3月、町東風平で家族3人が営む「パンとケーキのお店 デゼレト」のスティックパイが加わった。薄い生地を丁寧に折り上げたサクサク感と、町産マンゴーや紅芋など4種の控えめな甘みが軽快な味わいを生む。

 食物アレルギーに気を配り、卵は使わず、バターで風味豊かに仕上げた。

 PRの第1弾が24~26日に那覇市久茂地のタイムスビルで開かれる「まるごと八重瀬 観光・物産と芸能フェア」への出品。

 1997年に創業した新垣冬美さん(64)は「愛着ある町産品のおいしさを生かしたくて考えたパイ。不安もあるが頑張りたい」。八重瀬が育んだ特産品群が、町の「色」を点描する。(南部報道部・堀川幸太郎)