「先生ありがとうね。おかげでおなかも切られずにがんが治ったよ」

 診察室に入ると同時に、女性のうれしそうな明るい声が響いてきました。彼女はがん検診で便潜血陽性を指摘され、当院で大腸カメラを行い早期の大腸がんが見つかった女性でした。早速、内視鏡的にがんを切除できる病院を紹介し、無事切除できたと喜んでいたのです。

 近年、大腸がんにかかる人も、大腸がんで亡くなる人も増加傾向を示し、県のがん統計では男性は肺がんに次いで第2位、女性も乳がんに次いで死亡率が高い疾患です。大腸がんだけをみると沖縄県の大腸がん死亡率は男女とも全国ワースト1位・2位を占めるような状況で、県医療界にとって大きな問題になっています。

 原因として沖縄県はがん検診を受ける人が少ないことが挙げられ、全国平均の半分程度の受診率しかないのが現状です。また、便潜血陽性を指摘されても精密検査を受けていない人の割合が半数近くと高く、その事が大腸がんによる死亡率が高い原因と考えられています。

 現在、各市町村で胃がん・肺がん・大腸がん検診等が受けられる受診券が配布されており、近くの病院・クリニックでも簡単にがん検診が受けられるようになっています。安く受けられるのでぜひ活用してください。

 精密検査ができる施設も増え、気軽に大腸カメラが受けられるようになっています。県の大腸がん精密検査協力機関には30施設以上が登録されており、それ以外にも大腸カメラができるクリニックが多数あります。カメラが挿入困難な人にはコンピューター断層撮影(CT)やカプセル内視鏡による検査もできるようになってきています。各医療機関にお問い合わせください。

 検診で便潜血陽性を指摘されても必ずしもがんを意味するわけではなく、精密検査では正常か良性のポリープが大多数を占めています。がんと言われるのが怖くて検査を受けたくないと思う人も多いでしょうが、受けることで逆に安心することが多いのです。

 もし大腸がんと判明しても早期なら内視鏡的に切除できることが多く、やや進行したものでも腹腔(ふくこう)鏡的に切除することができ、おなかを大きく切らずに済むことも多いのです。

 自分の大事な体を守るため、まずはがん検診を受けましょう。前述の女性のように明るい声が聞こえるように。(親川 富憲 おやかわクリニック)