みそ店の3代目はケーキ職人-。八重瀬町当銘で2代続く「菊みそ加工所 夢工房」の一番人気は、創業者の孫でパティシエの平安名常滝さん(29)が自家製麹の手造り無添加みそを練り込んで作る「みそシフォンケーキ」。口コミで評判が広がり、沖縄県内外から買い求めに訪れる客がいるため、ほぼ毎日売り切れる逸品だ。(南部報道部・堀川幸太郎)

手で触れると揺れるくらい弾力に富むシフォンケーキ。みそやカボチャなど6種の風味と、切り分けサイズもある

泡立てた卵白を別の容器に移す平安名常滝さん。手で混ぜるのは感覚で仕上がりを判断するため=18日、八重瀬町当銘の「菊みそ加工所 夢工房」

手で触れると揺れるくらい弾力に富むシフォンケーキ。みそやカボチャなど6種の風味と、切り分けサイズもある 泡立てた卵白を別の容器に移す平安名常滝さん。手で混ぜるのは感覚で仕上がりを判断するため=18日、八重瀬町当銘の「菊みそ加工所 夢工房」

 直径21センチのみそシフォンは手でつつくと、ふるふる震えるほど弾力に富みつつ、きめ細かい生地。ほんのり香ばしいみその風味と相まって濃厚な味わいだ。弾力の秘密は山芋と、生地の仕上がり具合を確かめるため手で混ぜる常滝さんの職人技にある。

 「菊みそ」のおこりは祖母・永山菊江さん(82)が20代で始めたみそ造り。優しい甘みを引き出す製法と栄養を取りやすくするため2度挽(び)きする心配りで、学校給食や病院食にも使われた。2代目の母・平安名陽子さん(51)と一緒に手伝ううちに常滝さんは後を継ぎたいと南部農林高校に進学。農業や醸造法を学んだ。

 卒業後はリゾートホテルの厨房で修行。2008年に「菊みそ」に入った。先に店でケーキを作っていた父・常廣さん(60)から手ほどきを受けた。大手パン会社で洋菓子部門の発足に携わるなど40年以上、磨いた親の技を引き継いだ。

 自らも勉強を重ね、みそやかぼちゃなど6種の風味があるシフォンケーキに加え、チーズのような豊かなコクが特徴の焼きドーナツを開発。祖母、母、父の思いを紡ぎ、頑張る日々に「家族がいたからこそ、人に喜んでもらえる味が生まれている。直接言ったことはないけれど感謝していますよ」とはにかんだ。

 家族の味である「みそシフォン」などは26日まで那覇市久茂地のタイムスビルで開かれる「まるごと八重瀬 観光・物産と芸能フェア」でも販売している。