日米両政府が締結した「環境補足協定」が足かせとなって、県と宜野湾市による米軍普天間飛行場内の文化財調査が2015年度以降、中断に追い込まれている。

 外務省が「歴史的意義がある」と自画自賛した協定だが、実態は後退していると言わざるを得ない。

 調査は返還後の跡地利用や文化財保護を図るため試掘と範囲を確認するもので、1996年から続けられていた。

 滑走路などは試掘ポイントから除外しており、運用に支障を来すわけでない。調査の中断は返還後の跡地利用計画にも影響を及ぼしかねない。

 環境補足協定は2014年9月に締結された。

 環境に影響を及ぼす事故の発生や、基地返還まで約7カ月を切った場合に立ち入りが可能になる-ことが柱だが、文化財調査は基地返還に備えた立ち入りの一環である。

 米軍は不許可の理由について明らかにしていないが、協定を盾にしているとみられる。協定の関連文書には「返還日から約7カ月を超えない範囲で、日本側は調査のための立ち入りが認められる」と規定している。米軍は普天間はそれに該当しないとみているようだ。

 だが、14年度までは協定とは別の通常の立ち入り要請で認められており、協定が不許可の根拠になるのは、不可解であり、納得がいかない。

 米軍はなぜ、従来認めていたのを不許可としたのか、明確な説明を求めたい。

 一方で関連文書は「別途合意すれば約7カ月より前からの立ち入りも可能」とする。日本政府は米軍と協議したのかどうかを明らかにした上で文化財調査が再開できるよう早急に申し入れるべきだ。

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 日米地位協定には環境調査に関する条項がない。環境補足協定は文字通りそれを補う制度と位置付けられたが、米軍の調査受け入れ義務は明記していない。立ち入りを認めるかは、米軍次第なのだ。

 環境に影響を及ぼす事故が発生した場合、関連文書には「米側は日本側の要請に対して全ての妥当な考慮を払い、可能な限り迅速に回答する」などとある。「妥当な考慮」「可能な限り」「回答する」というのは、立ち入りは米側の意向に委ねられていることを示すものだ。

 1995年の米兵による暴行事件で、米側が身柄引き渡しを拒否したため、県民が猛反発。日米両政府は日米地位協定を改定することなく「殺人と強姦(ごうかん)」について起訴前の引き渡しに「好意的配慮を払う」と運用改善で対応したが、配慮する主体は米側である。この構図は二つの協定で何も変わらない。

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 環境補足協定には、県が要望した「基地内汚染が強く疑われた場合、県の立ち入り調査を認める」など10項目が反映されていない。

 協定締結後、嘉手納基地周辺からのフッ素化合物ピーホスの高濃度検出や浦添市の米軍牧港補給地区の環境汚染問題が発覚したが、そもそも県が立ち入り調査をする前提となる米側からの通報がない。

 協定の実効性のなさが露呈しているというほかない。