元海兵隊員で米軍属による女性遺体遺棄事件を受け、政府は「沖縄県における犯罪抑止対策推進チーム」の会合を首相官邸で開き、再発防止策を決めた。5月26日の初会合に続く2回の会合での決定である。

 柱となる対策は二つ。

 一つは警察官100人とパトカーを20台増やし、事件・事故が起きた場合の初動対応とパトロールを強化する。

 もう一つは沖縄総合事務局が非常勤職員を採用し、車両100台規模の「沖縄・地域安全パトロール隊」を組織。青色回転灯をつけて繁華街をはじめとする必要な場所をパトロールする。

 だが、具体的中身となるとはっきりしないことが多い。

 警察官増員の時期も決まっていない。そもそも何を根拠に100人と見積もったのか。沖縄県警が採用するのか、別の都道府県から派遣されるのか。一定期間に区切った増員なのか。予算はどこから出るのか。政府側は「できるだけ速やかに」としか言わない。不可解である。

 地域安全パトロール隊についても今月中に約20台で発足するという。総合事務局など国の機関が所有する車両の使用を想定しているようだが、永続的に続けるのか。非常勤職員の規模はどれくらいで予算は内閣府から出るのか。昼夜パトロールだけをするのか。別業務も受け持つのか。不透明である。

 警察官の増員や地域安全パトロール隊は、辺野古新基地建設や東村高江のヘリパッド建設をにらんだものではないのかとの疑いも消えない。

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 米軍人・軍属の事件・事故は基地あるが故である。

 県議会では女性遺体遺棄事件に対する抗議決議と意見書を全会一致で可決したばかりである。在沖米海兵隊の撤退、基地の整理・縮小、日米地位協定の抜本改定-などを求めている。

 県議会で退席した野党も、在沖米海兵隊の大幅な削減、基地の整理・縮小、日米地位協定の抜本改定などを党本部に要請している。

 多くの県民が求めているのは、0・6%の国土面積に米軍専用施設の74%を集中させるという極端な米軍基地のあり方をただし、事件・事故の土壌となっている不平等な日米地位協定を抜本的に改正せよ、ということである。

 与野党が一致し、県民が求めるこれらの問題に踏み込むことなしに、付け焼き刃の再発防止策をいくらうたってみても実効性を持たない。

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 政府はなぜ、いま具体的な中身が固まっていない再発防止策を打ち出したのか。

 環境整備として防犯灯や防犯カメラを増設することも盛り込んでいるが、どこにどれだけ設置するかも「決まっていない」という。

 県議選の投開票が5日に迫っている。参院選も22日公示、7月10日投開票の日程が決まった。

 県議選を重視する官邸が関係省庁に再発防止策づくりを急がせたのではないかとの疑念が拭えず、沖縄の実情を知らない霞が関の官僚が机上でつくったプランであるとしか思えない。