米軍普天間飛行場の移設問題で、県関係の自民党国会議員や自民党県連への圧力が、日に日に高まっている。

 昨年12月の衆院選で当選し、これまで県外移設の選挙公約を堅持してきたのは国場幸之助(1区)、宮崎政久(比例、2区)、比嘉奈津美(3区)の3氏。このうち宮崎氏は24日夕、記者会見し、「いかなる可能性も、いかなる選択肢も、排除すべきではない」と述べ、県内移設を容認する考えを明らかにした。

 25日には石破茂幹事長が国場、比嘉両氏に会い、翻意を促す。

 昨年12月の衆院選沖縄選挙区は、普天間問題が最大の争点だった。自民党県連は県外移設の方針を掲げ、宮崎氏も県連と歩調を合わせ、県外移設を主張して選挙戦を戦った。それなのに当選後に、党本部の圧力で公約を破棄してしまった。代表制民主主義の根幹にかかわる事態だ。党本部や宮崎氏本人の責任は重い。

 政府・自民党の最近の言動は異様である。

 離党勧告をちらつかせて選挙公約の破棄を迫る。辺野古を拒否すれば普天間は固定化されると脅し、態度変更を迫る。揚げ句の果ては政府中枢の菅義偉官房長官まで、「(県外移設は)あり得ない」と、保革を超えた全県的運動を愚弄(ぐろう)するようなことを平然と言ってのける。

 なりふり構わずとはこういうことを言うのだろう。

 だが、国会における「数の力」を背景にした強権的な手法は、辺野古移設の深刻な問題性を浮き彫りにするだけである。

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 「普天間の固定化を避けるためには辺野古移設が現実的」だと政府は強調する。だが、果たして本当にそうなのだろうか。

 日米両政府と沖縄県、名護市はいずれもこの問題の直接の当事者である。普天間返還を米側に提起した橋本龍太郎首相(故人)が折に触れて「地元の頭越しには進めない」と強調したのは、そのあたりの事情を物語っている。

 一方の当事者である名護市は、県に提出する市長意見の中で辺野古移設「断固反対」の意思を明確に打ち出し、市議会も賛成多数でこの案を可決した。

 もし仲井真弘多知事が、市長意見を尊重して埋め立て申請を不許可とし、来年1月の名護市長選で反対派候補が当選すれば、辺野古移設計画はもう無理だ。その場合、米国側は辺野古案を断念し、新たな案を模索する動きを表面化させるだろう。これが予測可能な現実的見通しである。

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 「普天間固定化」という脅し文句は、普天間返還を決めた理由を自ら否定し、1996年以来の取り組みを自ら無にするようなものだ。

 仲井真知事は慰霊の日の平和祈念式典で県外移設を誓い、41市町村長(代理を含む)は、県内移設断念を求める建白書をそろって安倍晋三首相に提出した。

 その姿勢から簡単に後退するようなことがあれば、沖縄は全国から「やはり」という目で見られ、取り返しのつかない政治的対立と混乱を招くことになるだろう。