選挙時に掲げた公約と正反対の転換をしておきながら恬(てん)として恥じない。選挙公約は有権者と交わした重い契約だ。破棄は政治家の自殺行為である。偽りの公約で当選したことを意味し、国会議員の正当性が失われた。辞職して県民に信を問うべきである。

 米軍普天間飛行場問題で、県選出・出身の自民党衆参両院議員5人は25日、党本部で石破茂幹事長と会談。「県外移設」の公約で選挙戦を勝ち抜いてきた5人が全員、辺野古移設を容認した。

 自民党が政権を奪還した衆院選からまだ1年もたっていない。衆院で議席ゼロだった沖縄でも、比例復活を含め県外移設を掲げた4人が当選する大躍進を果たした。

 普天間の移設先をめぐって党本部とねじれが生じ、いずれ深刻な軋轢(あつれき)が生じるのは目に見えていたはずだ。沖縄の民意に支えられ、県外移設の使命を託された政治家としての気骨と気概はどこへいったのだろうか。

 25日の会談で辺野古移設を容認したのは国場幸之助氏(1区)と、移設先の名護市辺野古沿岸部を抱える比嘉奈津美氏(3区)。宮崎政久氏(比例、2区)は24日に記者会見し、辺野古移設を容認する考えを明らかにしていた。

 西銘恒三郎氏(4区)と、2010年の参院選で再選した島尻安伊子氏(全県区)は今年4月に、いち早く公約を破棄している。

 議員らのホームページ(HP)になお、躍る「ぶれない信念!!」「最も早く確実な方法として県外へ移設すべきだ」との公約がむなしく響く。

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 安倍政権は沖縄の民意を無視し、強権と恫喝(どうかつ)によって基地政策を強行しようとする、近年見たことのない政権である。自民党本部は衆・参院選で5氏を公認している。今年7月の参院選で敗れた候補者を公認した。いずれも「県外移設」を公約としていた。党本部は沖縄で県外移設の公約を掲げることを認めていたのである。公約破棄を迫るのは、衆参両院で自民党1強体制の議席を得た自信とおごりから出ているのは間違いない。

 離党勧告の「踏み絵」で衆参議員を転ばせ、次いで自民党県連を転ばす。そして仲井真弘多知事から埋め立て申請の承認を得る考えである。

 石破氏との会談で、辺野古の埋め立て承認を知事に求める方針でも一致したという。

 公約を破棄して選挙時に受けた有権者の支持を裏切るばかりか、埋め立て承認に向けた「知事包囲網」に積極的な役割を果たすということである。到底納得できない。

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 政治家は、有権者が共鳴した公約を実現するために全力を尽くさなければならないはずだ。吹けば飛ぶような公約であれば、有権者の政治家に対する信は失われ、代表制民主主義が深刻な危機に陥ると言わざるを得ない。

 いち早く公約を破棄した西銘氏が「ボクは、正直だ」とブログにつづり、島尻氏は3人の転換を出産にたとえ「待望の子どもが生まれたら、みんなにお祝いをしていただける環境にしたい」と語った。厚顔無恥、有権者を愚弄(ぐろう)しているというほかない。