映画や雑誌の中で、訪れたことのある街並みや風景を見つけるとうれしくなる。「ここ、行ったよね」「そういえば、あんなことがあった」。懐かしい記憶が呼び覚まされまた一層、味わいが増す

▼そんな人々の印象や記憶に残る映画を作ろうと、名護の人々が奮闘している。通り会やNPOのメンバーを中心に計画を進め、経産省の地域再生事業に応募。補助金2億円を製作費などに充てる

▼先日、市のシンボル、ひんぷんガジュマルのそばで開いた製作発表で、映画のテーマが「恋」だと明かされた。名護のまちを舞台に、2組のカップルが織りなすラブストーリーという

▼映画には、商店街や市内の人々、名桜大生らもエキストラ出演する。選考オーディションも行う予定で、これを機に将来、名護出身の女優や俳優が生まれるかもしれない

▼沖縄がテーマの作品は数あるが、町おこしとして地元が「映画づくり」を自ら呼び込み、製作までこぎ着けた例は少ない。大型店舗やレジャー施設に客を奪われ、人通りのまばらな商店街や通り会の人々の、強い決意と期待が背景にはある

▼映画ですべてが解決するわけではないだろう。だが地域が少しでも元気づき、映画を見た人の心が「今度、行ってみよう」と動けばいい。全国公開は来年秋ごろ。効果を期待したい。(儀間多美子)