ホテルなどの大規模商業施設に耐震診断を義務付け、結果を公表することを定めた「改正耐震改修促進法」が25日から施行された。建築物の安全性向上を進めようと国は診断費の2分の1、改修費の33・3%の補助を決めているが、診断結果によっては建て替えなどで数億円の改修費が発生することもあり、対象施設の負担は大きい。県ホテル旅館生活衛生同業組合は、同法の施行で経営存続が危ぶまれるホテルが出ると懸念し、県に診断費補助の上乗せを要請した。補助割合など県や市町村による具体的な支援は未確定で、業界や県で負担軽減策の模索が続いている。(松田麗香)

改正耐震改修促進法の流れ

 県内では、那覇市の沖縄レインボーホテルが建物の老朽化で設備投資費の捻出に苦慮し、耐震診断費だけで約100万円、改修費に約3億円がかかることが分かり、12月末での閉館を決めた。

 観光客の増加に伴う県内ホテル間の集客競争の激化で、客単価を引き上げられず、新たに設備投資できるだけの備蓄がなかったことが背景にある。

 県ホテル旅館生活衛生同業組合の宮里一郎理事長は「建て替え費用を出せる外資系ホテルなどはいいが、県内資本のホテルはダンピングが長く続くと、どうしても資本力で負けてしまう」と説明する。

 宮里理事長によると、県内で対象となるホテルは約10件。対象施設は2015年末までに診断を受け、結果は県や市町村などの所管行政への報告が義務付けられている。宮里理事長は「診断報告の期限まで約2年。集客争いが激しい県内の事情を考えると、診断費に加え改修費を蓄えるのは難しいだろう」と、廃業の道を選択せざるを得ないホテルが今後も出てくると予想する。

 県建築指導課によると、把握しているだけで約60棟のホテルや公共施設が対象になっているという。同課の担当は「全ての対象施設に補助するとなると補助総額は高額になる。財源の確保などで調整が必要だ」と説明。市町村と補助費を分担するなど、連携策も検討しており、来年3月までには方向性を決めると説明した。

 當銘健一郎土木建築部長は「補助する方向で前向きに考えている。補助額などは関係者と調整している」と話している。

 [ことば]改正耐震改修促進法 不特定多数の人が利用する、ホテルなどの大規模施設などに耐震診断を義務付けた法律。1981年5月以前に旧耐震基準で建てられた床面積5千平方メートル以上、3階建ての建物が対象となる。対象施設は、2015年末までに県など所管の自治体に診断結果を報告しなければならない。診断結果は16年以降に公表される。