憲法で保障された法の下の平等や、投票価値の平等に基づく明快な判決だ。格差是正に真剣に向き合わない国会の怠慢に対する強い不信感も相まって、参院選で初めて「違憲・無効」に踏み込んだ。

 「1票の格差」が最大4・77倍となった7月の参院選で広島高裁岡山支部は定数配分規定を違憲と判断、岡山選挙区を無効とする判決を言い渡した。猶予期間を与えた後に効力が発生する「将来効」ではなく、確定すれば「即時無効」である。意味は重い。

 最大格差5倍が参院選の憲法違反の目安とされていたが、判決は「参院だからといって、投票価値の平等が後退して良いとは言えない」と指摘した。もっともである。

 1票の格差訴訟では違憲でも政治的混乱を避けるため選挙無効まで要求しない「事情判決」にとどまり、最高裁で無効とされた判決はない。

 高裁段階とはいえ、判決は47選挙区すべてが無効になる事態を想定。「2010年の参院選で選ばれた議員と13年選挙の比例代表の議員には影響がなく、参院の活動は可能だ」と言い切っている。

 「長期にわたり憲法違反の状態を容認することに比べれば、無効判断の弊害が大きいとは言えない」と断じている。憲法違反の弊害のほうが大きいということだ。裁判所の強い意志がうかがえる。

 弁護士グループらが全国14高裁・高裁支部に選挙無効を求めた訴訟の最初の判決である。福岡高裁那覇支部でも12月17日に判決がある。最高裁判決は来年言い渡されるため、岡山選挙区の当選議員は即、失職することはない。

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 参院の選挙区は都道府県単位で、3年ごとに半数を改選する仕組みだ。このため人口の多寡に関係なく最低2人が配分される。1票の格差が生まれるのはこのためだ。

 最高裁は09年の「合憲」判決(最大4・86倍)で選挙制度見直しの必要性に言及。12年の「違憲状態」判決(最大5・00倍)でも「立法的措置を講じ、投票価値の不均衡を解消する必要がある」と重ねて抜本的な見直しを求めた。にもかかわらず国会は「4増4減」の弥縫(びほう)策でお茶を濁した。判決は約3年9カ月に及ぶ国会の不作為を指弾した。

 各党の実務者らの「選挙制度協議会」は11月以降、有識者の意見聴取を開始。14年中に抜本的改革案をまとめ、16年選挙から新選挙制度を適用するスケジュールを描いている。だが、選挙制度改革を議員自ら決めることが困難であることはこれまで頓挫した経緯を見れば明らかだ。

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 最大格差が2・43倍となった昨年12月の衆院選を「違憲状態」とする最高裁判決が出たばかりである。

 正当性のない衆参議員らによる「違憲国会」で危険な特定秘密保護法案が衆議院を通過、参議院で審議されている光景は異様というほかない。

 参院の存在意義とは何か。衆院との役割分担はどうあるべきか。人口減の著しい地方の声をどう選挙制度改革に反映させるか。国会に第三者機関を設置してこの際、衆参両院の選挙制度改革を並行して進めたらどうだろうか。