毎年この時期、東京都内の大学でメディア専攻の学生に基地問題や沖縄戦を題材にした講義を担当している。29日に行った初回の講義では例年に比べ、学生たちの質問が少なかった

▼稚拙な内容に一因があるとしても、より大きいのは、自民党の沖縄関係国会議員や同県連が公約を撤回し、米軍普天間飛行場の辺野古移設を容認した動きが影響したと考えている。本土側にある「沖縄が日和始めた」という見方が沖縄問題への関心を低下させているからだ

▼2010年末の講義は「最低でも県外」を覆した民主党政権への怒り、11年は原発と基地を取り巻く構図の類似性、昨年はオスプレイ配備への全県的な抵抗をそれぞれ伝えた。今週、情勢は様変わりした

▼沖縄の戦後史を振り返ると、党派を超えた島ぐるみの闘争とその崩壊が繰り返されてきた。保守政治家はたびたび国の先棒を担ぎ、切り崩す役割を演じた

▼沖縄だけに日米安保の過重な負担を強いる構図、根底にある差別意識。この状況が変わらない限り、沖縄の闘いが途絶えることはない

▼国会議員や県連幹部は公約撤回を「苦渋の選択」と強調する。どう釈明しようと、有権者への裏切りに変わりない。民主主義の根幹を否定するだけではなく、県民の誇りをも傷をつける背信行為と言わざるを得ない。(与那原良彦)