米軍普天間飛行場の辺野古移設問題で自民党県連(翁長政俊会長)は1日、常任総務会を開き、辺野古移設容認の方針を正式に決めた。翁長会長は政策変更の責任をとって辞意を表明した。

 「普天間飛行場の危険性除去と早期返還・固定化を阻止するため、辺野古移設を含むあらゆる選択肢を排除しない」。回りくどくて分かりにくい表現は、官僚の作文をほうふつとさせる。逃げ道づくりに腐心したような表現だ。

 案の定というか、「あらゆる選択肢という言葉には県外移設も含まれる」と釈明する国会議員も現れた。

 自民党県連は2010年7月の参院選、12年12月の衆院選、12年6月の県議選、今年7月の参院選で、党本部と異なる県外移設の方針を掲げた。

 県議会の自民党会派は県議会各会派や県内41市町村と足並みをそろえて東京要請行動に参加し、安倍晋三首相に直接、建白書を手渡した。

 どのように抗弁しようとも、今回の組織決定が有権者に対する背信行為であることは明らかである。有権者との約束を裏切り、政治への信頼をずたずたに切り裂いてしまったのだから。

 自民党県連は、沖縄の戦後政治をけん引してきた栄光の歴史に、自ら大きな汚点を残してしまった。

 選挙の時には「県内移設では戦えない」と県外移設を公約に掲げ、当選すると今度は「普天間の固定化を避けたい」と理屈をつけて公約を変更する。そんなことを許していては代議制民主主義は成り立たない。

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 稲嶺進名護市長は、市議会で可決された辺野古移設断固反対の市長意見を正式に県に提出した。埋め立てに伴う環境への影響を調査していた県環境生活部は「懸念が払拭(ふっしょく)できない」との意見を土木建築部に提出した。

 地元の反対と、環境保全面の懸念材料。それだけでも県外移設を求める十分な理由がある。だが、政府自民党の最近の対応は、万事が「問答無用」の「どう喝調」だ。

 菅義偉官房長官は11月、自民党県連代表と会談した後、記者団に対し、県外移設は「あり得ない」と断言した。県民を愚弄(ぐろう)するような発言である。

 普天間移設、オスプレイ配備、「主権回復の日」記念式典、日台漁業協定締結-いずれのケースについても、党派を超えた「沖縄の声」は、安倍政権によって完全に無視された。これほど露骨に強権的に沖縄に対処した政権は、過去に例がない。

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 自民党の那覇市議団は県連の方針変更に反発し、市議会で県内移設断念の意見書を採択する。自民党県連顧問の仲里利信元県議会議長は県連に顧問の辞任届を郵送した。

 気骨のある政治家がいるという事実は、沖縄の多くの人びとを勇気づける。次は仲井真弘多知事の番である。

 党本部からの圧力による自民党県連の公約変更を知事判断の材料にすべきではない。これまで主張してきたこととたがわないような判断を、強く期待したい。