米軍普天間飛行場の移設問題をめぐり、自民党県連と党の県関係国会議員が名護市辺野古移設容認へと公約を変更し、県外移設を求める「オール沖縄」の枠組みが崩れた。しかし、県民の多数意思は依然として辺野古移設に反対である。

 沖縄タイムス社と琉球朝日放送(QAB)が、全県で行った世論調査で、国会議員と県連の方針転換について、それぞれ県民の約7割が「評価しない」と回答した。

 公約転換の責任は重大だ。後援会関係者に事情を説明すれば済むという軽い話ではない。

 調査では、政府が提出した辺野古の公有水面埋め立て承認申請について「承認しない方がよい」が72・3%に達した。辺野古移設を認めない多数の民意が、いささかも揺らいでいないことが裏付けられた数字だ。

 県連と国会議員は方針転換の理由として普天間の固定化回避を挙げた。しかし、県連の方針転換に対し「辺野古でなければ普天間が固定化するから評価する」と回答したのは18・7%にとどまっている。

 国会議員の方針転換についても「政府が普天間が固定化すると言っているから評価する」としたのは、19・7%でしかない。

 政府首脳や自民党本部が普天間の固定化を引き合いに圧力をかけたことが、政治的揺さぶりであり、脅し以上の意味はないことを、むしろ県民の方が見抜いているのである。同時に安倍政権の強権的な手法に対し65・4%が「評価しない」と回答している。

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 党本部からの圧力に屈して方針転換した自民党県連は、組織内部に大きな亀裂が生じ、分裂含みの動きが表面化した。

 県連は4日、議員総会を開き、辞意を表明していた翁長政俊会長の辞任を了承した。後任の会長は役員改選を迎える来年6月の県連大会まで空席となる見通しだという。

 県連会長を務めた外間盛善元県議会議長は「有権者の理解を得られない」と批判。仲里利信元県議会議長は、県連顧問の辞任届を郵送した。

 「辺野古移設は10年、20年かかるか分からず、その間固定化し、危険は県民が背負うことになる」

 5人の国会議員はこの先輩たちの声をどのように受け止めているのか。自民党県連は、辞職もせず有権者へのきちんとした責任も果たさず「嵐が過ぎるのを待つ」という姿勢だとしたら政治家失格だ。

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 安倍晋三首相は3日、バイデン米副大統領と会談し、辺野古移設推進を確認したことをアピールした。しかし、安倍政権の強引な手法に対する県民の反発はきわめて強い。状況が政府にとって好転しているとみるのは一面的だ。

 仲井真弘多知事は4日の県議会で辺野古埋め立て申請について「承認するか否かの判断時期は早くとも今月末以降になる」と述べた。政府がつくったスケジュールに沿って判断すべきではない。これまで機会あるごとに主張してきた県外移設の方針を堅持し、その上で新たな展望を示すべきである。