大田昌秀元知事は、尊敬する政治家として南アフリカのネルソン・マンデラ元大統領を挙げる。以前のインタビューで「苦境にありながら、不可能と思われたことに取り組み、人々に光を与えた」と語った

 ▼大田氏は基地問題の解決に尽くし、米軍用地強制使用手続きでは代理署名を拒否、裁判で国と争った。理不尽な国家権力と対峙(たいじ)する中、不屈の闘士・マンデラ氏の精神が支えになったのであろう

 ▼アパルトヘイト(人種隔離政策)撤廃運動の指導者で、ノーベル平和賞受賞者のマンデラ氏が95歳で死去した。人種差別と闘い、27年間の獄中生活でも信念を貫いた。穏やかな人柄は世界中から愛された

 ▼「全ての人々が、調和と平等な機会の下に暮らすことが私の理念だ。必要ならこの理念の実現のために死ぬ覚悟がある」。反逆罪に問われた裁判での言葉は多くの人々の心に刻まれている

 ▼釈放後は民主化を実現、1991年にアパルトヘイトは廃止された。大統領就任後は寛容の精神で国民和解を進めた

 ▼普天間飛行場の辺野古移設に反対するオール沖縄の枠組みは崩れ、闘いは分岐点にある。それでも、自由と平等を求めたマンデラ氏の遺志は県民を奮い立たせるに違いない。このような言葉も残している。「何事も達成するまでは不可能に見えるものである」(与那原良彦)