「酒は百薬の長」とも言われ、適量なら健康に良く、1日1合程度の飲酒は善玉コレステロールを増やし、心筋梗塞や脳梗塞のリスクを減らすといわれています。しかし、度を越した過剰飲酒は寿命を確実に縮めます。今回、アルコールによる肝障害、特に、その末期状態のアルコール性肝硬変について、酒好きの方にとっては“耳の痛い話”をしたいと思います。

 飲酒(日本酒換算で1日3合以上)による肝障害を総称してアルコール性肝障害と呼び、大量飲酒を継続することにより脂肪肝から肝炎、肝線維症さらに肝硬変へと進行します。一般的に1日5合以上を毎日10年継続すると肝硬変になる可能性があります。近年のアルコール消費量の増加に伴い肝硬変は増加し、肝癌(がん)の増加も懸念されています。

 厚労省の調査によると、男性の習慣飲酒者は横ばいから低下傾向ですが、女性では増加傾向で、多量飲酒についても若い女性で増加しています。女性は男性よりも少量(男性の3分の1~3分の2の飲酒量)、短期間(男性の3分の2)で肝硬変になることが知られており、女性のアルコール性肝硬変の増加が心配されています。

 肝臓は予備能力が大きく、よほどの事態にならないと症状が現れないために「沈黙の臓器」と呼ばれており、肝硬変になっても診断が遅れることも少なくありません。症状がないため、常習・大量飲酒で知らず知らずに肝硬変になり、手遅れの状態で受診される人もいます。

 ある報告では、肝硬変になって5年後も酒を飲み続けていた場合10人中7人が亡くなっていたが、断酒をすると5年後にも80%が生存したといいます。断酒できるかできないかで雲泥の差がでます。

 アルコール性肝硬変の予防は「常習飲酒や大量飲酒をしない」ことに尽きます。週2日の休肝日を設けるのは効果的です。毎日の飲酒が習慣化し、知らず知らずに量が増え、自分は大丈夫といった間違った自信を持ち始めたら肝硬変へ一直線です。1日でも休肝日がもてない人はすでにアルコール依存症になっている可能性があります。依存症でもある程度飲酒をコントロールできるためその可能性を認めたがらない人も多く、一度は専門医を受診することをお勧めます。

 お酒が大好きで一生飲みたい人は休肝日を設け、飲みすぎや依存を防ぎアルコール総量を減らす努力と定期的な肝機能検査で、飲酒と健康維持の両立に頑張って下さい。(砂川隆・沖縄赤十字病院)