こつこつ、こつこつ。長いトンネルを、地道に歩いた足音が聞こえてきそうだ。東村出身のプロゴルファー、宮里優作が12年目でツアー初優勝した。「藍の兄」を返上、自らの足で頂点を踏みしめた

▼最終日の前日から、北部の記者には本社から何度も連絡が来た。「優作が勝ちそうだ。関係者の取材準備を」「3打差キープ。行けるぞ」。今度こそ勝て、そんな思いが伝わってきた

▼筆者が運動部にいたころ、破竹の勢いでアマ街道を走っていた。日本学生選手権3連覇など主なタイトルを総ナメにし、アジア・ジャパン沖縄オープンではチップイン・イーグルで観客を魅了した。「大物だ」「プロに行けばすぐ勝てる」と言われた

▼だが、勝利は何度も手をすり抜けた。最終日の最終組を15回も経験しながら、欲しい1勝が遠い。兄や妹に先を越され「一時はあきらめた」「どうしていいか分からなかった」と明かす

▼混迷からの転機は、ゴルフ界の大御所・青木功さんの「スコアやショットではなく、どう戦うかイメージしろ」の言葉という。小さな一喜一憂をやめ心を平坦に攻めた結果、劇的なフィナーレが待っていた

▼最強のアマ時代を経つつ、勝てない優作は「ゴルフ界の七不思議」とさえ言われた。その一つを消した力を、次の飛躍につなげてほしい。(儀間多美子)