おとなしくしていれば悪いようにはしない。そう言われているようで怖い。考えすぎですか?

 ▼「通常の生活が脅かされることはない」「一般の方が巻き込まれることはない」。安倍晋三首相の言葉では、不安をぬぐえなかった。成立した特定秘密保護法は「通常」と「非常」、「一般」と「特殊」の境目を、お上が決めてしまいかねない法律であるからだ

 ▼保全監視委員会、独立公文書管理監、情報保全監察室、情報保全諮問会議。秘密指定をチェックする機関やポストが登場したのは参院特別委での採決の直前だった

 ▼メンバーは官僚や政府が選ぶ「中の人」。身内がやったことをどこまで客観的に見ることができるのだろうか。首相の指揮監督権については、行政の長が第三者の役割を果たすという悪い冗談のような解釈さえまかり通ってしまった

 ▼仮に安倍内閣が適切に、公平に運用したとしても、それが受け継がれていく保証はない。秘密の指定期間も30年から60年へと倍になり、闇に葬られる情報が増殖する

 ▼法を用いる側の「善意」に期待するしかない制度は、欠陥品だと言ってしまおう。首相が敬愛する司馬遼太郎さんは自著『歴史の中の日本』に「いやな事実も、それが事実であるがために残しておく」と書き残し、権力の秘密主義を戒めているのだが。(具志堅学)