地場産業を創出して若者の雇用確保を狙い、スポーツイベントなどで積極的に観光客誘致に取り組む久米島。一方で、少子高齢化や人口減少に加え、年間観光入域者数も9万人前後と伸び悩み課題も多い。こうした課題を解決するため町は、海洋深層水を複合利用した「エネルギーも食料も自給する循環型社会構築」を目標に掲げ、新たな挑戦を始めた。(南部総局・下地広也)

15日から本格的な発電が始まる海洋温度差発電の実証プラント=久米島町、県海洋深層水研究所(県提供)

 町産業の柱の一つに発展した海洋深層水関連事業は、車エビの養殖などの水産業や化粧品製造を中心に現在、関連企業の総売上高が年間約20億円に上っている。ミネラルが豊富で細菌が少ない深層水の特徴を生かした取り組みが結実した格好だ。

 深層水を分水する県の沖縄海洋深層水研究所は2000年に町真謝に建設された。久米島沖の水深612メートルから深層水を1日に約1万3千トンをくみ上げ、全国一の取水量を誇る。

 水は民間企業へ販売され、地場産業を育成してきたが、深層水の需要量が増えており、これにどう対応するかが課題の一つだ。

 今年6月、世界に先駆けて県の海洋温度差発電(OTEC)実証プラントが研究所内に完成した。深層水を発電システムに利用する取り組みで、実用化されれば島の電力エネルギー自給の可能性が広がり、循環型社会の構築が期待できる。

 プラントは、温かい海面の表層水と深層水の温度差(年間平均約20度)を利用し、発電する仕組み。一括交付金約5億円で整備し、佐賀大が、実証実験で全面協力している。

 町は、こうした町内での実績を積み上げながら、深層水利用を広げ、需要に応じた取水拡充につなげることを想定。将来は、農業への展開など深層水の複合利用で、80億円の経済効果と1500人の雇用創出を見込んでいる。

 一方、日本一の頂点に立った東北楽天ゴールデンイーグルスは球団創設以来、久米島でキャンプを張り、来年で10年目。キャンプ期間中の経済波及効果は約3億円に上り、久米島がメディアで取り上げられ、PRにつながっているという。

 マラソン愛好家から豊かな自然と町民の温かい応援が魅力と評判の久米島マラソンも起爆剤の一つ。25回目の今年は約1300人が出場、約3割が県外から参加した。今後も、リピーターを大切にした大会を継続していく。

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 沖縄タイムス社創刊65周年、ふるさと元気応援企画久米島町の「観光・物産と芸能フェア」が13日から3日間、タイムスビルで開かれる。フェアを前に活力あふれる久米島を紹介する。

 フェアの問い合わせは、芸能公演=沖縄タイムス社文化事業局、電話098(860)3588、物産フェア=広告局、電話098(860)3573。