久米島町では、商品輸送コストなど不利な経済条件を克服するために知恵を絞り、生産量日本一の車エビや、海洋深層水を活用した産業を生み出している。

販路拡大を狙う特産品をPRする(左から)久米島赤鶏の山城昌泉さん、ポイントピュールの大道りつ子専務、久米島漁協・車エビ養殖場の我謝政賢場所長=久米島・奥武島海中道路前

 月桃やアセロラなどの植物から美肌成分を抽出し、海洋深層水と配合した化粧品製造販売をするポイントピュール(大道敦社長)は、今年7月から自社開発商品を香港で売り出し始めた。海外で沖縄ブランドを確立することで、国内の売り上げ増加も狙う。

 大道りつ子専務は「化粧品メーカー激戦区の香港で、商品を定着させたい」と意気込む。初年度売り上げ目標は約5千万円、3年後には約1億円を目指す。主力商品「リュウスパシリーズ」は、シャンプーやオイルなどを含め約20種類。今後も国内外の需要を調べ、商品の改良やパッケージを工夫し商品を開発していく方針だ。

 一方、「車エビの出荷平均サイズ約14センチ(Mサイズ)を約16センチのLサイズまで育て、他の生産地と差別化し単価収入を増加させたい」と話すのは久米島漁業協同組合の我謝政賢場長(46)。Lサイズは見応えがあり、料理店などから需要が高い。3年前から養殖方法を改善し、今期出荷総量の約2割がLサイズの出荷を見込む。

 漁協の養殖方法は、いけすに入れる稚エビの量を減らし、車エビの平均養殖期間5カ月を約1カ月延ばしている。経験から、稚エビの密度が成長に影響することを学び、取り入れた。エサや海水温も成長を左右する。さらに研究を続け安定生産を図る。

 養鶏の分野でも果敢な取り組みが注目されている。養鶏業の山城昌泉さん(31)が島で育てた赤鶏は、うまみと歯応えがいいと評判だ。一家で赤鶏や地鶏など約7千羽を飼育する。山城さんは「鶏の生産加工から販売までを手がける農業法人を立ち上げることが目標」と話す。

 一般的な鶏肉のブロイラーは、密飼いができて約60日で出荷できるため生産性が高い。赤鶏は飼育期間約90日。余分な脂身を減らすため、地面を歩き回れる小屋で放し飼いにし、エサ全体の約2割を泡盛蒸留粕(かす)にして穀物と混ぜている。発案は8年前。毎月約100万円かかっていたエサ代を削減するため粕を入れたが、結果、肉質がよくなったという。

 山城さんは「島で穀物を育て、循環型農業の可能性を広げていきたい」と意気込む。

(南部総局・下地広也)