【名護】来年1月19日投開票の名護市長選の告示日まで、12日で1カ月となった。現在、出馬を表明している現職の稲嶺進氏(68)、前市長の島袋吉和氏(67)、県議の末松文信氏(65)の3候補予定者に、争点の米軍普天間飛行場の辺野古移設へのスタンスや、地域活性化の課題などについて聞いた。(名護市長選取材班)

権力に屈せず気概貫く
稲嶺進氏

 -辺野古移設への考えは。

 「ずっと言い続けている通り、辺野古に新しい基地は造らせない。地元で暮らす人にとって、これは政治ではなく生活の問題。戦後68年も過重負担を強いられ、これ以上の負担はとても受けられない」

 -県関係国会議員や自民党県連も、県外移設から辺野古容認に変わった。

 「戦後史の中で沖縄に基地を閉じ込めてきた状況は構造的差別と表現される。権力による押しつけだ。今回も権力を振りかざし屈服させた。屈辱的な光景だった。県民に選ばれた政治家が軸足をどこに置くのか。国防・国益の名の下に権力に屈せば、事大主義と言われても仕方ない」

 -政府の圧力が強まる中で選挙戦をどう戦うか。

 「那覇市議会など国のやり方に納得いかない思いは強く、県民や各自治体、議会がオール沖縄で県内移設反対を訴えた思いは崩れていない。孤立感や悲壮感はない」「思えば、前回も厳しい中で勝ち取った名護からがスタート。地元の頑張りに皆が共感した。4年前の気概を再現し、いかなる権力にも屈しないとの思いを見せることで辺野古移設を止められる」

 -北部地域の振興や活性化をどう考えるか。

 「名護、やんばるの自然や文化、資源を掘り起こし、域内の経済循環を構築することで、自立を勝ち取れると考える。第1次産業と観光を合わせた独自産業が必要だ。職業として若者に選ばれる、かっこいい農業を目指し支えたい。現在、市の農業総生産額は60億円。かつての90億円まで回復すれば、期限付きの再編交付金よりずっとよく、自立の維持にもなる」

 -仲井真弘多知事の埋め立て申請の判断が迫る。

 「県議会では、言ってきたことを守る、との発言もある。厳しい状況の中でしっかり国と対峙(たいじ)し気概を示してほしい」

 -選挙戦へアピールを。

 「今回の選挙は名護、沖縄だけの問題ではない。国のあり方を試される選挙になる。68年間の沖縄の戦後史に、さらなる負担の継続を許すのか。答えを出したい」

辺野古移設が私の務め
島袋吉和氏

 -辺野古移設の考えは。

 「普天間の一日も早い危険性の回避が最優先で、辺野古移設を推進する。現市政は辺野古反対が名護の民意だとしているが日米合意以降、私を含めて歴代の3市長は辺野古で、名護の民意は辺野古容認だ。移設のけじめをつけるのが私の務め。辺野古移設なくして北部の振興、発展はない」

 -県外を求める声も根強い。

 「沖縄は尖閣もあり普天間を県外に移設すれば抑止力を維持できない。県外に受け入れに手を挙げる地域もなく現実的に辺野古が一番だ」

 「辺野古移設を推進する基地統合縮小実現県民の会に賛同し署名が名護で1万3千人余り、県全体では7万5千人を超えた。県関係国会議員をはじめ、自民党県連も容認した以上、(辺野古反対が)オール沖縄だと主張するのは(那覇市長の)翁長雄志さんしかいないのではないか」

 -埋め立て申請の可否判断や時期については。

 「県の行政手続きであって承認すべきか否かについて私が言うべきではない。さらには防衛は国の専管事項である。知事は名護市や市民の意見を聞いており最終判断は知事に委ねられる。名護市長選挙にかかわらず一日も早く危険な普天間を回避するために早く判断してもらいたい」

 -まちづくりの課題や展望などは。

 「辺野古移設に伴う北部振興策でまちづくりを進める。現市政が再編交付金に頼らないまちづくりを進めた結果、市民税や健康保険税が値上がりして市民の負担が増した」

 「名桜大学への薬学部や医学部を設置し、北部地域の医療を担う優秀な人材育成につなげる。トップセールスで企業を誘致し雇用を創出する。シャッター通りの中心市街地改善に向けて市の助成の仕組みも必要。こころ豊かで幸せに暮らせるような名護市を目指す」

 -選挙戦へアピールを。

 「いかに市民に政策を浸透できるかが重要になる。丁寧に説明していきたい。(保守系野党候補の)一本化はなく三つどもえだ。しっかりと戦っていく」

リスク低い「臨海基地」
末松文信氏

 -辺野古移設への考えは。

 「移設問題は普天間飛行場の危険性除去が原点。日米合意から17年たつが、いまだに解決できていない。私は辺野古移設は選択肢の一つと考えている。海に隣接する施設の方がリスクは低くなる。早く解決して名護市を平常に戻し、新しいまちづくりに取り組みたい」

 -仲井真弘多知事の埋め立て申請の判断について。

 「埋め立て申請は行政手続きで、判断は知事の権限。ただ、県は今、辺野古移設と那覇空港第2滑走路増設の二つの埋め立て申請手続きを抱える。工事による自然環境への影響という観点から見ると、那覇空港を承認して、辺野古を承認しないということは考えにくい。また、知事が承認するのであれば、辺野古問題の早期解決につながる」

 -まちづくりの課題や政策は。

 「現市長は基地問題などで県や国と信頼関係ができておらず、国からの交付金や事業などを積極的に導入する役割を果たせていない。また、名護市や北部地域は定住条件の整備が遅れている。定住条件では産業振興はもとより、医療福祉の充実と教育環境の整備が最も重要。基幹病院や中高一貫進学校を整備していく」

 -選挙戦をどう戦うか。

 「今は『分裂』の状況にある。最終的には一本化が非常に望ましく、それに向けた努力も続けている。厳しい状況の中でも、市民に政策をきちんと理解してもらえるように訴えることが一番大切」

 -出馬表明後も県議を続けている。

 「県議の職は立候補の届け出とともに失職する。最終段階まで議席を維持し、名護の思いを伝えることが、県議に選んでいただいた支持者、県民に対する重要な役割と考えている」

 -選挙戦へアピールを。

 「市議会礎之会、自民党沖縄県連、党本部、政府からも支援を受け、当選後も見据えた体制が整いつつある。6日には安倍晋三首相から全面的なバックアップをいただく確認をした。この選挙は、名護市、山原を変える大きなチャンスだ」