県政与党の一角を担う公明党県本部が、「辺野古移設阻止」の方針をあらためて鮮明にした。

 米軍普天間飛行場の返還問題で、公明党県本は県外移設を求める提言書をまとめた。近く仲井真弘多知事と会談し、政府が県に提出している名護市辺野古沿岸部の公有水面を埋め立てる申請を不承認とするよう提言する意向だ。

 仲井真知事は今月末以降に埋め立ての可否を判断するとみられている。最終局面が迫ったこの時期に、県本としての主張を、再度明確に示した意義は極めて大きい。

 提言は、県本内の基地問題プロジェクトチーム(PT、座長・金城勉幹事長)の約3カ月にわたる議論の結論である。

 知事の判断を前に、普天間飛行場の県内移設が困難なことや、県外移設が合理的であるという理論を構築し、知事が埋め立て申請を承認しないよう後押しすることが、PTを立ち上げた狙いだ。不承認を求める提言は、議論の前提だった。

 とはいえ、県本は相当の覚悟をもって提言をまとめたはずだ。

 PTが議論を重ねている間にも、自民党本部は県選出・出身の党所属衆参両院議員に強い圧力をかけ、結局、5人全員が辺野古移設容認に転じた。続いて、自民党県連も辺野古容認へと雪崩を打った。

 そして自民党の石破茂幹事長は、公明党の井上義久幹事長に対し、公明県本に容認を働き掛けるよう要請した。「容認ドミノ」を公明党にも広げようとしたのである。

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 離党勧告をちらつかせて党所属議員に翻意を迫るなど、政府、自民党のなりふり構わぬ言動は、沖縄の民意を無視した恫喝(どうかつ)であり、県民を愚弄(ぐろう)することに他ならない。

 PT座長の金城幹事長は、石破幹事長の容認圧力に対し、自身のフェイスブック(FB)に「また、琉球処分?」と題した文を掲載し、1879(明治12)年の琉球処分を引き合いに不快感をあらわにした。

 金城幹事長は、FBに込めた思いを「中央権力で県民の心までねじ曲げられてたまるか、という魂の叫び」と説明した。多くの県民が共感する思いではないか。

 公明党の山口那津男代表は、日米合意に基づく現行計画を重視する立場を示したものの、県本の動きを「こちらが妨げるという考えは持っていない」と党本部として説得や方針転換を指示する考えはないことを明らかにした。当然の判断である。

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 自民党県連は辺野古移設を容認し、公明党県本は「県外」を堅持する-。自民党国会議員、県連と、有権者との契約ともいえる公約を次々と破棄する中で、公明党県本は有権者との公約を優先させた。貫くのは当たり前とはいえ、ぶれずに毅然(きぜん)と主張する姿勢を高く評価したい。

 提言書は、県民の政治に対する信をかろうじてつなぎ留めた。仲井真知事には、埋め立て申請可否の判断に際し、その意味を重く受け止めてもらいたい。