憲法を変える手続きや、憲法9条に関わる集団的自衛権の解釈が議論される中、憲法を知ろうとする人たちが増えている。自民党が昨年発表した憲法改正草案を題材に、条文を幅広く学ぶ「憲法講座」が今年に入り各地で開かれている。(小寺陽一郎)

小禄憲法基礎講座で、講師の高良沙哉さんの話に熱心に聞き入る人たち。市外から参加する人もいる=11月、那覇市小禄

 「中身を知らないまま、国民は改憲論議に巻き込まれている」

 那覇市の小禄南公民館で、沖縄大学の高良沙哉・専任講師(憲法学)が会議室を埋めた約35人に呼び掛けた。

 小禄九条の会が主催し、6月から定期的に憲法を学ぶ「小禄憲法基礎講座」。判例や新聞記事を題材に、自民党の改憲案から浮かぶ社会を具体的にイメージしていく。この日は思想・信条、表現の自由を扱った。

 初めて参加した糸満市の長嶺和子さん(65)は「条文の意味を読み取る方法が初めて分かった。自民党の改憲案は、いろんな規制が強まり、自分が自分でなくなるような気がした」。

 同会事務局長の小渡律子さんは「憲法が変えられようとする中、現憲法を知り、足元から憲法に強くなりたかった」と話す。講座は、1月25日(午後2時)に最終回が予定され、国の統治などを学ぶ。

 このほか琉球大学法科大学院の高良鉄美教授は「憲法行脚の会in北谷」と題し6月から原則月1回、北谷町で講座を開いてきた。今後は生存権や地方自治などを扱う。ジェンダー問題を考える会(安次嶺美代子代表)は2月に北中城村で、9月に北谷町で学習会をした。安次嶺さんは「女性目線で自民党の改憲案の影響を考えた。改憲案では、家族に介護が押し付けられるなど女性の負担が増す可能性がある」と言う。

 県憲法普及協議会と県生活協同組合連合会は、希望する組合員に講師役の大学教授を紹介する「出前講座」を11月に始めた。年内だけで10回ほど開く予定だ。

 同協議会の会長でもある高良教授は「特に若い世代は、日常生活で憲法や権利について考える場面は少ない。改憲が自分たちにどんな影響があるのか、知ってもらいたい」と語る。

沖縄の視点で解説

 憲法を学ぶときに参考になるのが、沖縄の暮らしの視点から憲法を解説する「わたしの憲法手帳」(県憲法普及協議会発行)だ。憲法の研究者や弁護士らが執筆し新書判で182ページ、定価800円。1972年、条文だけ記して発行した「憲法手帳」を起源に改訂を繰り返し、これまでに約3万6千部が売れた隠れたベストセラーだ。

 また、同協議会は憲法の原理と精神を普及し実現をはかることを目的に72年から活動していて憲法の学び方や、講師紹介の相談にも乗っている。

 問い合わせは同協議会、電話098(854)3381。