20年、30年後、あるいは子々孫々に至るまで影響を及ぼす重大な決断を迫られた知事がいたであろうか。米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に向けた埋め立て申請の知事判断が最終局面を迎えたいま、沖縄はまさに歴史の岐路に立っている。

 仲井真弘多知事は13日、公明党県本が埋め立て申請を承認しないよう求めた際、年内にも結論を出す意向を示した。

 提言書の中で公明党県本は、政府首脳らの「普天間固定化」発言について「県民をおどす文句であり、沖縄に対する“差別”との見方が正しい」と断じている。

 さらに「返還合意から17年たっても危険性が放置されていることがすでに固定化である」と指摘し、「普天間を固定化させているのは政治の不作為が原因であり、県民の反対が原因ではない」と強調している。

 自民党県連とともに知事を支える県政与党の公明党県本が、政府による圧力に対し、この時期に正面から反論した意味は大きい。

 知事も「ほとんどの県民が賛成する内容だと思う」と評価した上で「(提言書の)内容を重く受け止め、ベースにしながら結論を出せたらいい」と述べた。

 県経済団体会議(國場幸一議長)は、「米軍普天間飛行場の固定化反対」での意思統一を図ろうとしたが、辺野古容認と受け取られかねないと懸念する意見が出てできなかった。こうした動きは、県民の多数意見が県内移設に否定的であることを示している。

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 来年1月の名護市長選を前に、年内に知事から埋め立ての承認を取り付けるのが、安倍政権のスケジュールだ。背景には、仮に容認候補が敗れた場合、知事の判断に影響が出る恐れがあり、それを避ける狙いがある。

 知事は、政府が想定する日程に左右されることなく、あくまでも沖縄の立場に立って将来を見据えて判断すべきである。

 返還軍用地の跡利用を促進するために新たな法整備が必要だったように、国内法の環境影響評価法によって米軍飛行場建設のための環境影響評価を実施するのには、さまざまな限界がある。

 今回の埋め立て承認申請において県環境生活部もその点を指摘している。米軍には国内法が適用されず、基地内の問題に日本側が関与できない現状では、適切な環境保全ができないことは明らかだ。

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 政府は、次期中期防衛力整備計画で、航空自衛隊那覇基地のF15戦闘部隊を1個飛行隊から2個飛行隊に増やし、沖縄を中心に離島防衛を強化する考えだ。もはや普天間返還は、当初の負担軽減から大きく変質した。辺野古に新基地が造られれば、沖縄は日米が一体化した軍事拠点として再編成されることになる。

 沖縄県は21世紀ビジョンの中で「沖縄らしい自然と歴史、文化を大切にする島」「心豊かで安全・安心に暮らせる島」などを打ち出している。県民が共有できる将来像に沿った判断を求めたい。