「民主主義の国」を返上した方がいい。沖縄を今なお軍事植民地としか見ない傲岸(ごうがん)不遜な態度というほかない。

 米軍普天間飛行場の名護市辺野古沿岸部への移設に向け日本政府が県に提出した埋め立て申請について、無条件で承認されるべきだとの認識を米政府高官が日本側に伝えてきた。共同通信が報じた。

 仲井真弘多知事が埋め立て申請の結論を今年中に出すと明言したタイミングを見計らって、無条件で承認を迫るあからさまな恫喝(どうかつ)である。

 米国は二重基準(ダブルスタンダード)の国としかいいようがない。米海軍が米本国東部で計画していた訓練場が騒音の増加や生態系への悪影響を懸念した周辺住民や環境団体によって凍結に追い込まれたことが本紙の取材で明らかになったばかりである。

 普天間に強行配備したオスプレイは、米本国やハワイでは住民の反対や希少生物の生息環境に悪影響を与えるとして訓練を断念している。

 日本政府は普天間の県外移設を「とんでもない」(菅義偉官房長官)と言って恥じることがない。軍事一体化を推し進める日米両政府が沖縄の声を力ずくで封じ込め、普天間の辺野古移設を強行しようとしているのである。

 仲井真知事は今が踏ん張りどころだ。沖縄タイムス社と琉球朝日放送(QAB)による世論調査では、7割の県民が「承認しない方がよい」と回答している。知事のバックには、辺野古移設に反対する圧倒的な民意が存在していることを忘れないでほしい。

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 仲井真知事の発言は、当意即妙で歯切れがいい。

 辺野古移設が進まなければ普天間が固定化するとの「二者択一論」が政府内で出ていることに、「固定化の発想自体、一種の堕落だ。無能であり、その任に置くべきではない」と切り捨てている。

 県外移設を堅持し、埋め立て申請を不承認とするよう提言した県政与党の公明党県本部に対し「ほとんどの県民が賛成する内容だ。提言をベースにしながら結論を出せたらいい」と評価している。

 県議会9月定例会でも「これまで申し上げてきた流れに沿った脈絡で判断する」と県外移設の公約との整合性を重視する考えを示している。

 昨年7月には民主党政権の森本敏防衛相との会談後、オスプレイの事故が起きた場合には「全基地即時閉鎖という動きにいかざるを得ない」と言い切っている。

 知事は米国でも、県主催のシンポなどを通して県外移設を主張。姿勢にぶれはない。

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 本土防衛のために「捨て石」にされ、多くの一般住民が犠牲になった沖縄戦は、戦後沖縄の原点である。仲井真知事は6月の全戦没者追悼式で、安倍晋三首相や駐日米国大使が参列する中、日米両政府に「一日も早い普天間飛行場の県外移設」を要求した。

 県外移設は、民主党政権だった2011年から平和宣言に盛り込むようになった。み霊の前で交わした約束は限りなく重い。誰よりも知事自身が知っているはずだ。