来年度の沖縄振興予算に要求以上の3460億円が計上された。山本一太沖縄担当相は、沖縄を日本経済の「フロントランナーに」と語るが、この時期の上積みが何を意味するのか誰もが気づいている

 ▼あまりにも露骨ではないか。目の前に財布をぶら下げて翻意を促すのは下品な行為である。そうでないと言うのなら「今回の予算と辺野古移設は全く関係ない」と断言すべきだ

 ▼かつて、永田町や霞が関界隈で、猛獣をも餌で飼いならす「ズー・セオリー(動物園政策)」がささやかれたことがある。沖縄県民を猛獣に、振興策を餌に例えた、ひどい言い回しだった

 ▼これから先、仲井真弘多知事が普天間の県内移設容認へと動けば、「やっぱり予算をつり上げるための反対だった」という誤った認識が広がりそうで怖い

 ▼沖縄は基地負担の見返りに国からたくさんお金をもらっている、と考える人が予想以上に多い。現実には人口1人当たりの財政移転は全国7番目で、突出して高いわけではない。基地関連の収入が県経済に占める割合も5%と低い▼沖振法に基づき制定された1次振計には、苛烈な戦禍や長期におよぶ米軍統治によって生じた本土との格差を埋めるための「国の責務」がうたわれていた。新たな基地を造るために、振興費をアメにしてはいけない。(森田美奈子)